【GO】人を笑わせるって難しいですね。

【J】言葉では難しいですよ。たとえば、ここで、これを覚えていたら笑いが絶対にとれますみたいなポケットジョークを紹介しても、実際、笑いはとれないし。

【GO】その人の醸し出す空気感なり、キャラなりが大きいですよね。

【J】笑いをとるならアクションがいいと思います。言葉よりも動き。

【GO】Jさんも普通のことを話しているのに、イントネーションだとか身振り手振りが大きいから、なんか面白く感じる。見せる演出ですね。

【J】映画の『ロッキー』で、毎日、ペットショップへエイドリアンに会いにいってはポケットジョークを山ほど披露していたじゃないですか。ポケットジョーク集みたいな男だったんですよ、ロッキーって。でも、それでは彼女をものにできなかった。ところが、リングでアポロと戦っている姿を見て、エイドリアンはロッキーに心を開く。やはりね、男は行動。ポケットジョークじゃダメだと。だから『ロッキー』は、アメリカンジョークへの反抗の映画なんですよ。

【GO】そういう映画なんだ。

【J】いや、そういう部分もあると思うんですよ。1970年代は愛想笑いとか、付き合い笑いでも「笑い」といわれた時代ですが、現代は「笑い」のハードルが高くなっていますから。

【GO】素人でも笑いの技術を専門用語で語る時代ですものね。

【J】今、豪ちゃんが言った通りですよ。でも「笑い」って、根源的に失礼や無礼と紙一重ですよね。

【GO】それが許されるキャラじゃないと成立しない。

【J】いや、許される人ですら許されないかもしれないという、かなり危険な行為なわけですよ。勝負で言えば極端な攻め。わかりやすいのは相手の体の欠陥。体ということでもないけれど、相手の弱点とか欠陥、欠点をあえて言うのも笑いには繋がるじゃないですか。相手が気にしていることを笑いでかわしておいたほうが、空気がよくなることが、世の中にはあります。が、これは常に紙一重ですよね。