大きな味方になる相談窓口もフル活用

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「ご近所さん」と同じくらい重要な支援窓口!

実家に帰ったときには高齢者相談窓口(地域包括支援センター)を訪れよう。一人暮らしをしているなど、親の情報提供をして「利用者基本情報」という相談記録をつくっておけば、何かが起きたときに素早く対応してくれる。地域包括支援センターは高齢者の生活支援に関する“よろず相談所”みたいなもの。ケアマネジャーや保健師、社会福祉士など福祉の専門家が在籍している。この地域包括支援センターは社会福祉協議会とともに公的介護サービスを手がける拠点なので、親と共に顔を出して担当者と面識を持っておこう。

いざ、介護が始まって精神的な負担になりやすいのが親族との関係。誰が面倒を見るのか、と兄弟やその配偶者と争いになることも。まずは、親族の誰が介護のキーパーソンになるのかを決めよう。ただ、介護を担当するキーパーソンが一人で抱え込んではいけない。介護の主役である親を中心に介護チームをつくると考えて、チームリーダーとして動くのだ。そのチームリーダーが、ケアマネジャーやかかりつけ医などと打ち合わせをし、親が支障なく日常生活を送れるよう遠距離支援をしていく。

特に金銭がからむと人間関係はややこしくなる。これを解決する一つの方法は介護を親自身のお金でまかなうこと。経済的に難しい場合も考えられるが、親に関わることはすべて親の金で解決すれば介護中に兄弟が金銭でもめることもなくなり、相続でもめずに済む。それに親も自分のお金で介護を受けていると、プライドが保てる。

人間関係とそのネットワークづくりが、遠距離介護にとって最も重要な仕事になる。

黒田尚子(くろだ・なおこ)
CFP、一級FP技能士、消費生活専門相談員
株式会社日本総合研究所に勤務後、1998年FPとして独立。個人向けの相談業務、セミナー・FP講座等の講師、書籍や雑誌・Webサイト上での執筆など幅広く行う。消費者問題にも注力
(吉田茂人=構成)
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