親が入院したら即座にすべきこと

介護は入院から始まることが多い。入院したら、入院診療計画書を医師から見せてもらい、介護が必要になると判明したら、退院=介護であることを肝に銘じ、すぐに準備を始めよう。在宅で介護サービスを利用するのか、あるいは特別養護老人ホームや介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設を利用するのか。経済的余裕があればサービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームなどもある。病院の医療ソーシャルワーカーや看護師に相談し、介護サービスについて学び、方向性を定めておく。

と同時に老親の住む自治体の行政窓口や地域包括支援センターを訪ね、相談員や民生委員と顔合わせをしておく。センターでは、介護サービス利用者にとってどのようなサービスが最適であるか、その利用計画を立てるケアマネジャーを紹介してくれるので、面談をして最適のパートナーとなってくれる相手を探しておこう。

介護期間は平均で4年9カ月にもなる(2012年度生命保険文化センター調査)。「介護状態になったから」といって、あわてて実家に引っ越したり、呼び寄せたりしないこと。親と最低でも1カ月一緒に住んでみて、お互いに同じ屋根の下で暮らせるか試してみるといい。呼び寄せた親は、住み慣れた土地や友人と離れるうえ、同居しても子供たちは日中出かけることが多く、結局一人で暮らすのと同じになりかねない。家族のうち一人でも反対者がいると人間関係はぎくしゃくしたものになる。

肉親が世話をしなければ老親は不幸だと考える必要はない。アウトソーシングを積極的に活用し、そばに子供がいなくても十分なケアが受けられるのがベストだ。

黒田尚子(くろだ・なおこ)
CFP、一級FP技能士、消費生活専門相談員
株式会社日本総合研究所に勤務後、1998年FPとして独立。個人向けの相談業務、セミナー・FP講座等の講師、書籍や雑誌・Webサイト上での執筆など幅広く行う。消費者問題にも注力。
(吉田茂人=構成)
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