日本に深く浸透している『論語』。秩序と道徳を重んじる儒教の思想は、2500年の古より変わらぬリーダーたる覚悟と心構えを説いている。

3.権力を鼻にかけて驕りケチになっていないか

子曰く、如し周公の才の美有りとも、驕(きょう)且つ吝(りん)ならしめば、其の余は観るに足らざるのみ。
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小宮さんが20代の頃から愛読している『論語の活学』(プレジデント社刊)。書き込みや付箋がびっしりだ。

この論語の言葉の意味は、「たとえ才能があっても、驕った態度を見せ、かつ吝嗇(りんしょく:ケチ)ならば、そのほかのことは見るまでもない」ということです。

現代でも、せっかくバリバリのやり手なのに権力・才能などを鼻にかけ、人を見下す態度をする人がいます。しかも、ケチときた日には、部下はついていくはずがありません。「驕かつ吝」の人の共通点は、【1】(http://president.jp/articles/-/14204)で触れた本来あるべき「先義後利」ではなく、「先利後義」である点で、自己中心的です。

ちょっと業績が上向いたからといって、高級車に乗り換えたり、ブランドの服や高価な時計を身につけたり……。このタイプは、自分のためにはお金を使う一方、他人のためには何もしません。部下の手柄も自分の手柄にしてしまうことが少なくありません。人生の勉強をしていないからです。

では、「驕かつ吝」にならぬためにはどうしたらいいのか。それこそ[2.自分の利益だけでなく皆のためにやっているか]の欄で触れた「三省」が効果的ですが、例えば、同期入社の中で一番先に出世しても態度を変えないよう自戒することが大事です。地位が高くなることで人格や態度が変わり、馬脚を現してしまったことで、ビジネスマンとしてだけでなく、人間として尊敬されなくなる人は多いのです。

松下電器創業者・松下幸之助さんは大阪人らしい倹約家ではありましたが、ケチではなかった。だから、私財で松下政経塾を立ち上げ、政財界に多くの人材がその後輩出されたのです。