「ファンクションごとにPC上にファイルして辞書を作っていけば、これまでに学んできた英語の知識を生かすことができます。‘遅れ’は‘delay’と知っていても、実際使う際には後ろに‘in’をつけて、‘delay in ...’で使う。これを機能別ファイルの「~が遅れて謝罪する」というところに打ち込んで,覚えることができます。ビジネスパーソンの多くは大学まで英語を勉強しており、知識もあるのだから、残っている英語力を生かしてオン・ザ・ジョブでやっていくのが無理もなくていいと思います」

和訳せずに
理解するには速読を

では、そもそもの基本となるボキャブラリーは、どのような方法で増やすことができるのか。松本氏は、英字新聞の読み方を例に、次のように述べる。

「『The Japan News』などの英字新聞の記事は、日本の新聞より半日遅れになっていることが多い。日本の新聞の夕刊の記事が、翌日の英字新聞の朝刊に反復されている。そのまま英訳されているわけではないにしても、記事内容は似ているので、日本の新聞の夕刊を読み、翌日の英字新聞にも目を通すと、同じ内容の記事だから、内容は理解できる。すると、文章中の意味のわからない単語にフォーカスできるようになり、辞書を引かなくてもその単語の意味がわかるようになるのです」

同じテーマの記事を1週間程度継続して読むことからも同じ効果を期待できるという。つまり、継続して記事を追いかけているうちに、ある単語が何を意味するかがわかるようになるわけだ。

また、リスニングの力を高める前提としては速読が重要と指摘する。

「英語の文章の構造に慣れ、英語を英語のまま理解する。この力が身につかないと速読はできませんし、速読ができないと、和訳せずに英語を聞きとることもできません。では英語を英語のまま理解することに慣れるにはどんな方法があるかというと、ひとつには、語彙数を絞って再編集された英語の本を気楽に読み進めることがあります。語彙レベルが1200以下だと中学英語くらいなので、どんどん読め、英語のままで理解する訓練には効果的ですね」

そしてもうひとつ、勉強を持続するために極めて重要なポイントがあるという。

「勉強をルーティン化することです。朝食の間はCNNを観るとか、通勤中はNHKの語学番組のCDを聞くとか、あるいは夜に数ページ英語の本の音読をするとか、さらには週に一度は英会話学校で積極的に話してみるなど、『これだけは必ずやる』という決めごとを作る。こうして勉強をルーティンにしてしまえば挫折することもなく継続できるものです」

外国人を前に困らない英語力も日々の地道な努力から。まずは何かひとつ、新年からのルーティンに決めたいところだ。

(大竹 聡=取材・文 鶴田孝介=撮影)