トクホマークを目にする機会が増えている。商品のラインアップが広がり、ますます身近な存在として浸透する中、どううまく活用するべきか。ポイントを整理する。

1991年にスタートした「特定保健用食品制度」。飽食の時代において栄養過多による健康バランスの乱れが危惧されていたこと。研究が進むにつれて、食生活と健康維持との深いかかわりが解明されてきたこと。また、来るべき高齢化社会への対策として、「健康寿命の延伸」が重要なテーマとなっていたこと。こうした要因を背景に、「信頼性の高い食品を活用した健康増進」を目指す動きは加速していった。発足から2年後の1993年には表示許可第1号の商品が誕生。世界で初めてとなる「国が健康強調表示を許可・承認する制度」は、国際的にも大きく注目された。

「特定保健用食品」(トクホ)の定義は、「からだの生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、特定の保健の用途に資する旨を表示するもの」。いわゆる「健康食品」と呼ばれるカテゴリの中でも、健康や栄養に関する表示が制度化されているのはトクホのほか、「栄養機能食品」(ビタミン、ミネラルの補給のために利用される食品)、「特別用途食品」(病者用、乳児用、妊産婦用、えん下困難者用など特別の用途に適した食品)の3種類である。

食品の形態が多様化
広がる「使えるシーン」

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グラフ1

グラフ1が示すように、トクホの表示許可・承認品目数は右肩上がり。累計は1142品(2014年11月13日現在)で、2013年度のトクホの市場規模は、2011年度の5175億円から6275億円へ、実に121.3%もアップ。まさに、活況を呈している。

「用途の内訳としては、22.4%を占める中性脂肪・体脂肪分野の伸びが目立っています。また、乳酸菌関連やオリゴ糖関連を中心とした整腸分野も、2011年の前回調査から30.9%の増加を記録するなど、全体としては2005年のピーク時を上回りました」

そう語るのは、公益財団法人日本健康・栄養食品協会の特定保健用食品部長である矢吹昭さん。

「制度が歴史を重ねていく中で、個々の企業努力などもあり、着々とトクホの認知度は高まりました。それが、現在の市場拡大の一因でしょう。また、本格的な高齢化社会を迎え、例えば高齢者向け施設などで健康増進に利用される。そのようなケースが増えていることも後押しとなっているようです」

トクホといっても、その役割はさまざまだ。その一部を挙げてみると、「おなかの調子を整える食品」「コレステロールが高めの方の食品」「骨の健康が気になる方の食品」「むし歯の原因になりにくい食品」など、バラエティーに富んでいる。さらに、効果だけでなく、「摂取できるシーン」が広がっていることも、消費者の心をつかんでいる理由の1つだ。

「食品の形態が多様化しているのです。例えば醤油があったり、コンビニではトクホのソバが販売されていたりします。また、1つの商品で2つの効果をもつタイプも増えていますね」

今後も、ユニークなトクホの誕生が期待できそうだ。

自分に合った商品を
いつ、どれだけ摂るか?

矢吹 昭●やぶき・あきら
公益財団法人
日本健康・栄養食品協会
特定保健用食品部長兼
栄養食品部長
工学博士

では、トクホをうまく取り入れて、ヘルスケアに役立てていくためには、どのような点を心がけたらよいのだろうか。矢吹さんは、次のようにアドバイスする。

「やはり一番のポイントは、“自分自身の健康面で気になっていることは何か?”をきちんと認識した上で、それに合った商品を選ぶことでしょう。例えば、中性脂肪の値を改善したいと思っているのに、血圧を下げる成分を含んだトクホを摂取しても、期待した効果を得ることはできません。どんな効果があるのかは、必ずパッケージなどに表示してありますので、それを確認してから購入することが大切です」

そしてもう1つ、忘れてはならないことがある。

「それは、“どういうかたちで摂ると効くのか”ということです。大きく分けますと、トクホには二種類あります。1つは、いつ摂取してもよいもの。もう1つは、食事と一緒に飲んだり食べたりすることによって、食事の中の余分な成分を吸収させないようにするなどの効果があるものです。こちらのタイプであれば、空腹時に摂取するのでは、せっかくの成分が働きません。また、もちろん、大量に摂取したから効果が高くなるわけでもありません。決められた容量を、しかるべきタイミングで摂取する。このことを意識されている方は、意外と多くはないように感じます」

もうすぐ2014年も終わる。自身の健康管理について見つめ直すには、うってつけの時期だろう。

「トクホがあるから食生活を気にしなくていい。これでは本末転倒です。薬とは違いますから、劇的にコレステロールや血圧の数値を制御できるわけではありません。分野によって異なりますが、通常、トクホは3カ月間の試験が義務づけられており、一定期間にわたって摂取することで効果が現れるというデータをとっています。そのため、思い立ったときだけ使っても、効果を望むのは難しい。味の好みなども含めて、飽きずに続けることができ、普段の食生活に組み込んでいけるものを、ぜひ見つけていただきたいと思います。まずは継続する。これが、健康づくりの第一歩です」