「議員の世襲」が行われるのは、「三バン」により新人候補よりも圧倒的に有利になるからです。後援会には「跡取り」を育ててきたという意識があります。したがって当選すれば、親と同じように地元への便宜を図ることが期待され、議員もそれに拘束されてしまうのが現実です。

しかし先に指摘したように、憲法は、国会議員を「全国民の代表」と定めています。国会議員の役割は、国防、外交、経済といった各政策について日本の意思を決めること。選挙区や後援団体など「地元の代表」ではなく、「全国民の代表」として行動することが求められるのです。

表を拡大
安倍内閣の閣僚18人中9人は「世襲」(9月3日発足時)

また世襲議員は「民意の多様性」を踏まえた存在であるかどうか疑問です。国会議員は、さまざまな職業、立場にある国民の代表であり、多様な民意を反映できなければならないのです。ところが、世襲議員は、議員の家庭で育ち、支持者から将来の代議士として寵愛を受けながら大切に育てられます。大学を卒業してすぐに議員秘書になる場合も多く、さらに就職活動や入社してからも「代議士の子」として特別扱いされることがあるようです。「民意の多様性」を実感できる環境とは言えません。

第2次安倍改造内閣において、発足時、18人の閣僚のうち9人は、政治家の親族がいたり、地盤を受け継いでいたりする世襲議員でした。

また時事通信によると、父母、義父母、祖父母のいずれかが国会議員、または三親等内の親族に国会議員がいて同一選挙区から出馬した候補を「世襲」とした場合、12年の衆院選では立候補者のうち9.6%にあたる145人が世襲候補でした。このうち自民党は89人で、世襲率は26.4%と突出していました。