「これだけは変えられない、これだけはずっと持っていないといけない、というものを大事にしてほしいです。ブレてはいけません。絶対に軸がないとダメです」(田中将大)(時事通信フォト=写真)

「負けない」ことが米国でも話題となっている田中将大選手。試合後のコメントは至って冷静で謙虚なものが多い。だが、自分のスタイルを崩さず、自分の主張を貫き通す点は、サッカーの本田選手に通じるものがある。2007年、東北楽天ゴールデンイーグルスに入団した年のこと。当時の野村克也監督は、田中選手が変化球を多投することが気に入らなかった。田中選手を呼び「おまえなぁ、ルーキーなんだから、打たれてもいいからもっとストレートで勝負していかないと」と叱咤激励。並のピッチャーなら「わかりました。次回からそうします」と返答するはず。ところが、田中選手は違った。「もしも監督のおっしゃることを僕がきいて、それで打たれたら二軍に落ちるのは僕なんです。自分のやり方でやらせてください」と答えたのだ。高校を卒業したばかりで、入団したての選手が、かの大監督に対してである。

このとき、田中選手の訴えを受け入れた野村監督もすごい。普通の監督なら「オレの言うことに逆らうなら、今すぐ二軍に落ちろ」と言いかねない。もっとも、田中選手が二軍に落ちたとしても、「ブレない軸」は変わらなかっただろう。