施工後に接続図面を
もらっておくと──

自分で使う電気を自分でつくれる。そこには純粋な喜びがあります。
都筑 建●つづく・けん
特定非営利活動法人(NPO法人)
太陽光発電所ネットワーク 代表理事

1942年生まれ。長崎県出身。早稲田大学理工学部卒業。市民の立場からエネルギー問題を考え、省エネや自然エネルギーの普及活動を行う。97年に自然エネルギー推進市民フォーラム、2003年に太陽光発電所ネットワークを創設。
──基本的な質問ですが、実際に太陽光発電を設置した場合のメリットを聞かせてください。

【都筑】売電収入、電気代の節約は、当然ながら具体的な利点でしょう。投資分を回収すれば、以降はそのまま収益になります。ただ、「まさに設置したばかり」というお宅などに伺うと、お金のことは置いておいて、もっとピュアに喜びを表現される方が多いですね。自分で使う電気を自宅でつくれる、という純粋な喜びです。

自宅での発電は、家庭菜園にたとえられることがありますが、そのとおり。自分で栽培した野菜をおいしく感じ、残さず食べるように、屋根でつくった電気は大切に使います。まさに小さな発電所のオーナーになることで、家族ともども節電の意識が高まるというのは、大きなメリットです。

──今後、さらなる普及が期待される太陽光発電ですが、何か課題はありますか。

【都筑】現在、急速に普及が拡大している段階のため、これから明らかになってくる課題もあると思いますが、リサイクルや廃棄の問題は、必ず考えておかなければならないテーマです。

具体的な仕組みやルールは、国やメーカー、業界団体などが検討すべきものでしょうが、私は「ユーザー自身がきちんとコントロールする」という意識を持つことも重要だと考えています。自分たちが使う電気をつくる道具であれば、やはり人任せにせず、管理についてもできる部分は自分たちで行うことが大事ではないでしょうか。

──最後に、「これから太陽光発電を」という人へ一言お願いします。

【都筑】ぜひ、賢いユーザーになっていただきたいと思います。先ほどもお話ししたとおり、正しい知識を持っていれば、それに応じて設置した太陽光発電の価値は一段と高まります。

例えば、「施工後に、パネルなどの接続図面をもらってください」、そんなアドバイスもよくさせていただきます。当然、事前の設計図はあるのですが、実際の施工では屋根の状態などを見ながら現場で工事担当者が調整を行う場合も少なくありません。それを把握していないと、いざ修理やメンテナンスを行おうというときに、余計な手間がかかってしまいます。

金銭面のメリットだけでなく、気持ちの部分でも喜びや楽しみを提供してくれる太陽光発電。それに主体的にかかわって、暮らしをより豊かで快適なものにしていただきたいと思います。