「G型大学×L型大学」ネットでは批判が大勢

10月7日、文部科学省の有識者会議での株式会社経営共創基盤CEOの冨山和彦氏の主張がネットで公開され、大きな議論を呼んでいる。それは「一部のトップ校を除いて、ほとんどの大学は職業訓練校になるべき」というものだ。アカデミアの大学関係者が聞いたら目を剥く主張であり、到底容認できないものだろう。正式のタイトルは「我が国の産業構造と労働市場のパラダイムシフトから見る高等教育機関の今後の方向性」について。経済界から教育のあり方の提言である。

中でも議論を呼んでいるのが、職業訓練校化の内容だ。たとえばこんな例を挙げ説明している。

「文学部はシェイクスピア、文学概論ではなく、観光業で必要になる英語、地元の歴史、文化の名所説明力を身につける」「経済・経営学部は、マイケルポーター、戦略論ではなく、簿記・会計、弥生会計ソフトの使い方を教える」「法学部は憲法、刑法ではなく、道路交通法、大型第二種免許を取得させる」「工学部は機械力学、流体力学ではなく、TOYOTAで使われている最新鋭の工作機械の使い方を学ぶ」といった具合だ。

一部のグローバル人材を生み出すG型大学、その他をローカル大学(L型大学)として位置づけ、現在の大学制度そのものを見直せという。

ネットでは、この部分だけが大きく取り上げられ拡散したため、8割が否定的な意見、2割がおおむね肯定的な意見で分かれた。否定的な意見としては「こんな人達が教育や文化の中心をなす大学教育行政に口出し始めると、日本の文化崩壊に繋がる」「これ大学でやる意味あるのか。それこそ工業高校か商業高校のやることではないか」「良い生徒はいるのにL大学ではこれだけしか教えないのでは、ますます学歴差別や格差を煽ることになる」「コンクリこねる仕方しか教えないって、学問どうこう以前に差別主義でしかない」等、大学のあり方を踏まえた意見が大半だ。

一方肯定、追認する意見としては「正論だ。レベルの低い大学は専門学校化すべき」「企業は育成に金をかけないで済むし、学生達が金を払って学んできてくれるんだから、この上なく質の良い奴隷の大量生産に成功する」等だ。また「ほとんどの大学はLだね。東大法学部なんて完璧にL。グローバルじゃないもんなあ」という皮肉めいているが核心を突いた意見も。