公立校優位は変わらず

東北地方の大半の進学校が目指す東北大は、宮城県以外の学校も多くの合格者を出している。3位盛岡第一、4位山形東、5位秋田まで昨年と同じ順位で、各県のトップ校がベスト5に入った。その他の東北の県のトップ校を見ると、9位の県立福島は前年を11人上回る37人が合格し16位から順位を上げた。青森の八戸も10位に入っている。ランキング上位は合格者が増える学校が多い中、合格者が前年から16人減で7位から18位に下がった横手や、11人減で19人となり前年の13位からランク外になった青森などのケースもある。

PIXTA=写真

地理的に東大と東北大が視野に入る東北近郊の学校で合格者が大幅に伸びて順位を上げるケースが見られた。水戸第一は24人合格者を増やして昨年の20位から7位、新潟も22人の合格増で19位から8位となった。

医学科は仙台第二が21人でトップとなり、2位の盛岡第一(10人)の2倍以上の合格者数となっている。以下、3位海城(7人)、4位秋田(5人)、5位新潟(4人)と大学全体の順位でも上位の学校が並ぶ中、目を引くのは3位に入った東京の私立中高一貫校の海城だ。医学科ランキングで9位にあたる合格者2人の学校を見ても渋谷教育学園幕張(千葉)、麻布、開成(東京)など首都圏の私立中高一貫校が7校入った。東北や周辺の学校の合格者が強い東北大だが、医学科に関しては首都圏の私立中高一貫校が強さを見せた。

全体のランキングに話を戻そう。11位以下のランキングを見ると、11位の宇都宮、13位の高崎、16位の県立前橋と県立浦和など、関東地方の県立トップ校も合格者ランキングの常連だ。近年の安全志向の高まりにより、東大や東京工業大、一橋大といった東京の超難関大学より東北大を目指す傾向が強まっている影響もありそうだ。

東北大合格者ランキングの上位はすべて公立校で、私立校は2005年以降、ベスト20に入ったことがない。今春、東北大に1人でも合格者があった学校は、約770校あったが、その内、私立校は280校ほどだった。東北大の合格者が多い東北や北関東に私立の進学校があまりないことに加え、安全志向で東京の難関大より東北大に目を向ける受験生が多いことも要因だ。医学科以外の東北大合格者ランキングでは、公立校優位が続きそうだ。

(PIXTA=写真)
【関連記事】
なぜ「偏差値が高いから医師を目指す」は間違いなのか
現役医学部生座談会「1%の才能と99%の努力です」
地元医学部の独占率2割超! 名門公立高校が強すぎる
【東京大】開成33年連続トップ!筑駒、灘、麻布…中高一貫校が上位独占