企業の想いは経営理念に集約される

CSを高めるための取り組みは、自分たちの「想い」を明確にすることから始まります。通常、企業の想いは「経営理念」という形で表されますが、いくつかの要素に砕いて表されることもあります。たとえば、「ミッション(使命)」も企業の想いの一つ。何のために自社は存在して、何のために事業を行うのか。その目的がミッションとなります。一方、ミッションを達成した先の理想像が「ビジョン」です。ビジョンは、自社が目指すコール。ここがブレると、企業は迷走を始めます。さらに、自社が大事にしている「価値観」や、価値観を具体的な行動に落とし込んだ「行動指針」も、広い意味で経営理念を構成する要素の一つといえます。

CS向上のためにはそれぞれの要素が明確になっていることが望ましいですが、なかでも欠かせないのは「ミッション」の明確化です。ミッションは、企業の存在理由です。ミッションなき企業は、事業活動を続ける理由がありません。目的もなく惰性でビジネスをするだけならば、ただちに事業を整理して市場から退場すべきです。

ミッションが明確ではない企業は、手始めにどうすればいいのでしょうか。ヒントにしていただきたいのは、マネジメントの神様、ピーター・ドラッカーの言葉です。ドラッカーは著書『マネジメント』の中で、企業のミッションについてこう言及しています。

「企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。
 顧客である。
 顧客によって事業は定義される。
 事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、顧客が財やサービスを購入することにより満足させることこそ、企業の使命であり目的である。」

ドラッカーの指摘は的確です。顧客に喜びをもたらすことがビジネスの原点ですから、自社のミッションも顧客起点で考えるべきです。顧客を無視して自社のやりたいことだけを深掘りしても、市場に存在を認められるミッションは生まれてきません。顧客から発想をスタートさせてこそ、自社の存在理由を明確にできます。