25歳社員を70人のトップに抜擢

新しいチャレンジには、自分で考え抜く力が必要です。成長産業では、過去の経験が通用しない局面、誰も経験していない局面で勝負しなくてはいけません。業界の常識や暗黙のルールに従っていたのでは、業界の成長を上回る成長は望めないのです。業界のルールを自らつくりだすという気概で、とことん考え抜く。この力も、当社で活躍する人材の共通点です。

当社は2013年、130人の新卒が入社しましたが、採用段階から考え抜く力を重視していました。しかし、短時間の面接では判断が難しい。当社では、ある程度の人数まで絞った時点で「ジョブ」と呼ぶ1泊2日の合宿に参加してもらいます。ケーススタディを中心に、例えば新規事業をチームで発案するなどの課題を通して、就職志望者の考え抜く力を見極めていきます。また、成長意欲やポテンシャルを知るために、数人で酒を飲みながらじっくり話す場もあります。

もちろん、変化を楽しむ姿勢や考え抜く力を誰もが最初から持っているわけではありません。活躍できる人材へと成長するために、私は2つのフェーズがあると考えています。

第1のフェーズは「吸収」の段階です。ベーシックなスキルが身につく前にもかかわらず、プライドが高く、自分の型にこだわってノウハウが吸収できない人がいます。一定レベルに到達するまでは、上司や先輩が言うことを素直に受け入れ、自分で試行錯誤することが重要。その後の成長はどれだけ早く吸収するかにかかっているのです。

第2のフェーズは、「チャレンジングな課題を乗り越える」段階です。解がない仕事に立ち向かう場合、ただ考えているだけでは成果が出ません。解を見つけられるかどうかは、その仕事にぶつかってみないとわからないことが多いのです。ある仮説の下に突き進み、失敗すればレビューしてやり方を変え、またトライする。試行錯誤を繰り返しながら考え続け、解を見つけていくしかありません。こうした経験を重ねていくうちに、挑戦への楽しさが自然としみついていくはずです。

社員が成長できる環境をつくることは、企業の義務でもあります。

これからの組織は、多様性が一つの武器になります。当社では、新卒採用より、中途採用のほうが多い。私もそうですが、異業種からの転身組はさまざまなバックグラウンドを持っています。これが新しい分野に打って出る際に大きな力を発揮します。多種多様の能力を持つ者が集まり、彼らが刺激し合うことで互いに成長する。その結果、短期間で新事業が生まれていきます。