──パートナーとなるマンション事業者や住宅メーカー、不動産会社を選ぶ際のポイント、意識しておきたい点はありますか。

【永田】不動産による資産運用は、一般に何十年にもわたるものになります。その間には、物件そのものはもちろん、周辺環境、金融情勢、社会構造なども変化します。また外的な要素ばかりでなく、自分自身についても、家族構成や仕事の状況など、いろいろと動きがあるでしょう。その意味では、「万が一」のとき、柔軟に対応してもらえるかどうかは押さえておきたいポイントです。つまりパートナーとなる事業者が、いざというときに多様な対処法を提示してくれるかどうか──。これは、そのときになって確認しても遅いので、想像力を働かせて「こういう場合はどうなるか」「こうした変更はできるか」とできるだけ事前に確かめておくのがいいでしょう。

投資を始めるにあたっては、一定の条件を設定し、それに基づいて収益などのシミュレーションを行います。しかし、お話ししたとおり、20年、30年にわたって、それが変化しないというのはむしろまれです。ですから私たちが、資産運用や相続について相談に来られたお客様にコンサルティングを行う場合も、「仮に想定外の事態が起こっても、立て直しが利くかどうか」という視点を重視します。

加えて不動産投資を行う方にアドバイスするなら、運用を始めた後も定期的に当初の条件と現状に差異が出てきていないかどうか、チェックすることをお勧めします。物件を購入したり、建築したりするときは、細かな数字も点検しますが、一度運用が始まると、あまり気に留めず、流れに任せてしまう人が少なくありません。早めに変化に気付ければ、当然対応の幅も広がります。何かあったときに、真摯に相談に乗ってくれるかどうかも、パートナーの重要な要件でしょう。

検討し、納得できれば
不安は解消する

──最後に、資産運用に関心を持つ現役のビジネスパーソンに向けて、一言お願いします。

【永田】現役世代の皆さんの中には、将来に備えて、何かしなければならないが、何をしたらいいか分からない──。そんな人もいると思います。最終的にどのような選択をするかは人それぞれですが、不安を解消するには、まず自ら情報を収集して、具体的な検討を行うことが大事です。

不安の原因は、何もしていないことより、むしろそのための検討をしていないことにあるのではないでしょうか。さまざまな投資手法について、メリットやデメリットを考えた末に、現状を維持するのであれば、それも一つの選択ですし、自分が納得していれば、不安は小さくなるはずです。

いずれにしても、「時間を味方に付ける」というのが現役世代の基本的な投資戦略ですから、変化する税制や社会保障制度など、多方面にアンテナを張り、自分の将来と引き合わせて考えてみてほしいと思います。そうすることで、新たな気づきも得ることができるでしょう。

繰り返しになりますが、金融商品も不動産商品も、投資対象や関連のサービスは充実してきており、取り組みやすさも増しています。目的を明確にして、積極的に知識を付けていけば、方向性は定まってくるに違いありません。