2014年11月21日(金)

毎日通いたい! 東京「コロッケ」案内

dancyu 2012年11月号

文・山内文子 撮影・古市和義
ポンチ軒のミンチコロッケ&メンチカツの定食。何もつけなくても美味! なめらかで力強い味わい。ご飯、豚汁に昼はキムチ付き。キャベツのお代わり無料。

午後の活力を養う昼食選びにおいて、欠かせないのが揚げ物。なかでもコロッケはニクニクしていない分、財布にやさしく、じゃがいも効果で腹持ちも良し。コロッケこそランチで最も頼れる存在、といっても過言ではない。

その素晴らしさを検証したいとまず訪れたのは、東京・小川町の「ポンチ軒」。

粗めの衣が花開き、見た目は剛の者を思わせる。だが、勢いよく衣を攻めた箸が、すうっと奥に吸い込まれるような感覚にとまどった。手荒にしてごめんなさい、と謝りたくなるほど、ふわふわ&柔らかではないか。なのに、割れ目からは力強い風味が香り立つ。

口に入れればとろ~りなめらかクリーミーで、味わい濃厚なディープインパクト。ジュワジュワジューシーなメンチカツとも相まって、極めて満足度が高い一皿である。

じゃがいもはメークインを使い、炒めた豚挽き肉、玉ねぎと混ぜ合わせる。店長の橋本正幸さん曰く、それ以外のレシピは秘密だが、ふんわり感を保つため、なんと10分ほどかけて弱火でじっくり揚げるとのこと。最後に強火で仕上げ、衣はサックリ、油の重みを感じさせない。

そよいちのコロッケ300円は、看板メニューのビーフカツ(ハーフ)定食と組み合わせるのもお薦め。インカのめざめと玉ねぎの甘味と旨味の濃さに驚く! そのままでもおいしいが、味を加えるならぜひ、からし醤油で。定食はお代わり可のライスと豚汁が付く。

対して、まるで少女のごとき可憐さで魅せてくれるのが、人形町「そよいち」のコロッケ。きめ細やかな衣に覆われて見目麗しく、割れば“インカのめざめ”の黄色が、愛らしく顔をのぞかせる。ほかに具に使われるのは、炒めた玉ねぎだけ。味つけも塩胡椒のみと、実に潔い。

それだけなのに、はふ~とため息がもれるほど、深い甘味が詰まっている。程よく芋の塊が残った、ほっこりの食感もまた好ましい。

「やっぱりラードで揚げるのが一番の秘訣。おいしくて、しかもからりと仕上がる」と言う女将・石井明美さんの言葉通り、衣はサックリさくさく軽快だが、微かなコクに彩られている。

お腹は既にいっぱいだってのに、気持ちの良い味の名残に誘われ、さらなる欲望が込み上げてきて……ええい、追加でもう一軒いっちゃえ!

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山内 文子