リスクを最小化して挑戦を繰り返す人生

【リスク回避には2つの道がある】
(1)恋愛であれば、一番好きな人への無謀な告白を諦めて、2番目や3番目、簡単に言えばフラれるリスクがない相手だけに告白をする
(2)一番好きな人へ告白をするのだが、その最高の目標を達成するために、できるだけリスクのない方法、失敗しそうにない方法を考えて慎重に選ぶ。

共にリスクを避けることを主題にしていますが、手に入るものの価値は大きく違います。

(1)番目が告白に「失敗しない」で上手くいったとしても、それは大きな喜びにつながるものではないはずです。なぜなら一番好きだった人への告白を諦めているから。

(2)番目の生き方は、リスクを避けることにアイデアを凝らしながら、人生で最大限の勝負をしており、(1)番目の生き方に対して、比較にできない大きな感動と幸せを手に入れることもできるはずです。成功すれば、一番素敵な恋愛を体験できるからです。

もうお分かりだと思いますが、孫子の「リスクを避け、悪戯に戦わない」兵法の概念は、自らの目標を諦めることにつながる場合と、自らが抱ける最高の目標に挑戦するための、両方の使い方があるのです。前者はある種、あきらめと悟りを持って人生を歩み、後者は生き生きとしながら躍動と感動に溢れた生涯を歩みます。小さな賢さで孫子を読むならば、多くを諦めて自分が行動しない正当化に使われてしまいます。しかし本当の成功者は、孫子を読むことで「最高の目標を手に入れるために、リスクを最小化して挑戦を繰り返す」躍動的な人生を送っているのです。

以前の記事で孫正義氏が孫子の兵法に精通していることをご紹介しましたが、氏が孫子を参照しながら生み出した「孫の二乗の法則」には、「七闘」という言葉があります。これは、「5分5分では勝負に出ず」勝算が7割になったときに戦うことを意味しています。

では、なぜ勝算が9割以上になるような時まで待たないのか、理由は9割の勝算までグズグズ待っていると、誰かにさきを越されたり先行者利益を失うことで果実が小さくなってしまうからです。ここには、孫子のようにリスクを限定しながら手に入れる果実を最大化するための、孫正義氏独自の見切りがあるのです。