チャンスに対してアプローチを工夫する

「始め方」を工夫することで、有利に戦いを進めることも重要です。典型的な事例は、海外進出の際に現地代理店をまず募集し、数年間の契約期間を設定するなどです。自社が直営するまでに至らない売上規模の期間は、代理店契約を継続し、いよいよ直接進出をするまで市場が拡大熟成した時には、契約継続を停止し、店舗を買収するなどで積極的に直営ビジネスに乗り出す例は、日本国内、海外で無数に目にすることができます。

これは市場の成長の各段階を追い掛ける形で進めていく、無理のない進出方法です。

大きく考える場合、ソフトバンクが1995年当時世界第2位のコンピューター見本市だったCOMDEXを買収したように事業を丸ごと買ってしまうことも「始め方」です。翌年のCOMDEXの基調講演はIBMのCEOルイス・ガースナーでしたが、孫正義氏が講演者の紹介をして世界的な知名度を得ることになりました(2001年に同社はCOMDEXを売却)。

買収する場合も方向性はさまざまですが、最近話題になったサントリーの米ウイスキー大手「ビーム社」の買収などもあえて大手・超メジャーブランドを購入しています。

小さく考える場合、一つの新しい商品を店舗で取り扱い始める、新しい販売ルートを一つ開拓するなど、極小のきっかけから始めることもできるでしょう。自社の現状に対してリスクの低い始め方をできるなら、それだけ挑戦を行うことが簡単になるというメリットもあります。アプローチの方法自体の洗練、最適化が勝率を大きく高めてくれるのです。