2014年11月7日(金)

コーヒーって何だ?

dancyu 2013年2月号

文・岡田真弓 教える人:山内哲也(小川珈琲)、岡田章宏(小川珈琲)

コーヒーは豆じゃない

「コーヒー豆って言いますけど、実際は果実の中にある種子なんです」。小川珈琲の山内さんはそう説明してくれた。「えっ、豆じゃないんですか?」。「正確には豆じゃありません」。残念ながら……という感じで山内さんは苦笑い。

そもそもコーヒーはアカネ科のコフィア属に属する熱帯植物。“コーヒーの木”があり、そこに白い花が咲く。その花はジャスミンのような香りがするというから、びっくり。花が咲いた後に果実をつけ、青い実が成熟して赤色に変化。その姿がさくらんぼに似ていることからコーヒーチェリーと呼ばれる。私たちが“豆”と呼んでいるのは、果実を割った中に向かい合って入っている2つの種子というわけ。

さて、コーヒーの木。日本でも栽培可能なのですか? 「なかなか難しいですね」。残念ながら……という感じで山内さんはまたもや苦笑い。品種によって異なるけれど、アラビカ種の場合、日中の年間平均気温が18~22℃、適切な時期に降雨も必要で、昨今は沖縄や九州の温暖な地域で栽培が行なわれているとのことだが、簡単ではないみたい。

ちなみに、コーヒーの木が農作物として収穫可能になるまでの期間は栽培品種によって異なるが、早いもので2~3年で十分な生産能力をもつものもあるという。そこから10年ほどが収穫のピーク。コーヒーは一日して成らず、なのです。

バリスタって、どんなことする人?

バリスタ。最近、よく聞くこの言葉。言葉というよりは職業と言ったほうがいいだろう。そもそもはイタリア発祥。ものすごく簡単に言えば、バールでエスプレッソを淹れ、客に提供する人物のこと。日本でもエスプレッソの普及とともに、ここ数年、定着してきていて、毎年、バリスタの日本一を決める選手権(優勝者は世界大会に出場)も開催され、職業としての人気も急上昇中なのだ。

「小川珈琲」には日本を代表するバリスタがいる。岡田章宏さん。話を聞くと、バリスタという職業の面白さと難しさがよくわかる。一杯のおいしいエスプレッソを淹れるために岡田さんが考えていることは、多岐にわたる。岡田さんの一日は、気温や湿度など、天候に合わせて毎朝、コーヒー豆の挽き方を決めることから始まる。注文を受けたら、挽いたコーヒー豆をエスプレッソマシーンに装着するハンドルに詰めるわけだけれど、そのときは量を計ったりせず、目分量。その後は指先で微妙な調整を行なう。その単位は0.1gからというから、すごい! タンパーと呼ばれる道具でギュッギュッと粉を押すときも、押し加減で味が変わるというから、手先の感覚がすべて。まさに職人技。

「所作の美しさが重要です」と、岡田さんは言う。バリスタとして、おいしいエスプレッソを淹れるのは当たり前だと岡田さんは考えている。カウンターに座ったお客さんがほれぼれするような動きで、一杯のエスプレッソを提供してこそが、一流のバリスタの証。確かに、岡田さんの動きは美しく、まるで踊っているかのようにカッコイイ。エスプレッソは目で見てもおいしいというわけだ。

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岡田 真弓