「期限」を守ろうとする意識を悪用するヤツら

焦らないこと。

詐欺や悪徳商法に騙されないためには、これが大事である。向こうの手に乗って、焦らされてしまうと、冷静な判断ができなくなる。

詐欺犯が私たちを焦らせる手法は様々ある。よく使うのは「○○しなければ間に合わない」と期限を切ってくる手法だ。代表的なのは、還付金詐欺。

70代男性は、市保険課の職員を名乗る男から「国民健康保険料を払い過ぎており、還付がある」と電話で言われた。そして、その手続きのためと現金自動預払機(ATM)に誘導され、機械を操作して240万円ほどをだまし取られている。この種の被害はなぜ減らないのか。

詐欺犯は、しばしば役所など公的機関の人間を騙(かた)る。そして、医療費や税金など「払いすぎたお金があるので戻します」という電話をかける。その際、こう尋ねる。

「あなた宛てに手続き書類を送ったのですが、届いていますか」

うその還付話なので、書類など送っていない。しかしこの話を真に受けた高齢者が「書類がない」ことを伝えると、相手は大変な事態が起きたというような声をあげる。

「今日が支払期限になっていますよ! 今日中に手続きをしなければ、お金が受け取れなくなります。大至急、還付金の手続きをしてください」

そして、手続きを早急に行うためにという口実でATMに高齢者を向かわせる(最近は詐欺に警戒を強める銀行ではなく、警戒度が比較的低いコンビニやスーパーなど人気のあまりないATMに行くように指示することが増えている)。