「慢性副鼻腔炎」とは、「蓄膿症」のことである。若い方々は慢性副鼻腔炎でわかり、年配の方々は蓄膿症でピンとくるだろう。

その病気の部位となる鼻は1日に約3万回も空気を吸い込んでいる。空気は鼻の孔(あな)から入り、鼻道を通って気管支へ行く間に、鼻腔以外の副鼻腔という空洞も通る。

副鼻腔には「上顎洞(じようがくどう)」「篩骨洞(しこつどう)」「前頭洞(ぜんとうどう)」「蝶形骨洞(ちようけいこつどう)」があり、自然口という小さな孔で結ばれ、ホコリや細菌、ウイルスなどを線毛で捕らえて排出している。加えて、空気を30℃、湿度を90%に調整している。

この副鼻腔に細菌感染やアレルギーで炎症が起きると、自然口はふさがれ細菌がますます繁殖して膿(うみ)がたまってしまう。そして、「鼻汁」「鼻詰まり」の症状がでてくる。

細菌感染としては風邪をひいた後に急に起こることが多く、これを「急性副鼻腔炎」といい、それが3カ月以上続くと「慢性副鼻腔炎」という。

慢性化すると「鼻茸(はなたけ)ができる」「頭痛」「臭いがわからない」といった症状も加わって、生活の質(QOL)は低下してしまう。

ポピュラーな慢性副鼻腔炎も、国民の栄養状態の良さや抗生物質の進歩によって、過去の病気になるだろうと思われていた。

が、どうしてどうして。最近はアレルギー性のものなど、さまざまに原因が広がり、けっして消えゆく病気ではなく、逆に増加傾向にある。

慢性副鼻腔炎の治療は「保存療法」と「手術療法」。

保存療法は局所治療と薬物療法で、早期発見、早期治療を心掛けると、十分対応できる。

その保存療法の効果がなかったり、鼻茸が大きいと、手術に――。今は内視鏡を使った体にやさしい「内視鏡下鼻内副鼻腔手術」が行われている。腫れた粘膜をすべて除去するのではなく、空洞をつくって副鼻腔の換気を良くし、あとは内服治療を併用すると自然に粘膜の炎症は治まっていく。

かつての手術は根こそぎ病変部をはがす手術で、「痛くて怖い」が知れ渡っていたが、今日では短期滞在手術と、体にやさしい手術に変貌した。

だが、実際の手術は術者の経験と技術が大きく左右するので、手術をする場合には、その点をしっかりとチェックすることが大事である。

 

食生活のワンポイント

慢性副鼻腔炎が風邪をひいたあとに急に起こることが多いのは、免疫力が低下し細菌感染が起こりやすいからである。

栄養が行き届いた時代とはいえ、実際に人々が口にしている食事は、けっしてバランスの良いものとはいえない。そこで、普段から免疫力をあげる食生活を行っていると、風邪もひきにくくなる。

免疫力アップに不可欠なのは腸内を善玉菌優位の状態にすることである。

人間の腸内には100兆個以上の細菌が棲みつき、種類も100を超える。それは悪玉菌と善玉菌に分けられ、悪玉菌がはびこると免疫力は低下する。

だからこそ、善玉菌であるビフィズス菌やアンドフィルス菌などの乳酸菌を増やすべきである。

それには、次の3点を実践しよう。

(1)ヨーグルトを毎日食べよう!
ビフィズス菌は乳糖によって増えるからである。

(2)オリゴ糖を摂取しよう!
オリゴ糖はビフィズス菌のエサになる。オリゴ糖が多いのは、ごぼう、人参、玉ネギ、バナナなど。

(3)食物繊維は1日25グラムは摂取しよう!
食物繊維が腸内の悪玉菌をくっつけて排出してくれる。食物繊維が多いのは、豆類、海藻類、山菜類、キノコ類など。