2014年11月6日(木)

増殖中「立ちグルメ」は男女の出会いの穴場だ

プレジデント探検隊女子部!

PRESIDENT Online スペシャル

著者
山本 貴代 やまもと・たかよ
女の欲望ラボ代表、女性生活アナリスト

山本 貴代静岡県出身。聖心女子大学卒業後、1988年博報堂入社。コピーライターを経て、1994年~2009年まで博報堂生活総合研究所上席研究員。その後、博報堂研究開発局上席研究員。2009年より「女の欲望ラボ」代表。専門は、女性の意識行動研究。著書に『女子と出産』(日本経済新聞出版社)、『晩嬢という生き方』(プレジデント社)、『ノンパラ』(マガジンハウス)、『探犬しわパグ』(NHK出版)。共著に『黒リッチってなんですか?』(集英社)『団塊サードウェーブ』(弘文堂)など多数。

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女の欲望ラボ代表 山本貴代=文
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「立ちグルメ」が大変なことになっている

「立ちグルメ」に凝っている。

今年に入り、1グラム5.5円~13円で本格的な牛肉を食べられる「いきなりステーキ」(銀座)を皮切りに、ガッツリ系の立ち食い蕎麦「港屋」(虎ノ門)、まぐろの中落ち大盛りやポテトサラダコンピーフのせなどのつまみで知られる立ち飲み「竜馬」(新橋)に立て続けに足を運んだ。

いずれも人気店で開店後、即満員御礼だったが、今回は、同じく行列のできる店であり予約が取りにくいと噂の赤坂見附「俺のフレンチ&イタリアン」に潜入した。

スペインのバールなどはさておき、立ちながら本格料理を食するという習慣は、世界中見渡しても日本にしかないようで、これには外国人観光客もビックリするという有名店だ。そして、ここでランチをたらふく飲んで食べて、私は後述する立ちグルメ人気の意外な「理由」を発見した。

「俺のフレンチ&イタリアン」は、人気の「俺の」シリーズ(経営する企業は他に割烹や焼き鳥、焼肉店も展開)が、同時に2軒分味わえるなんとも欲張りな立ちグルメだ。

立ち食いが基本(99席)だが、座り席(28席)があると聞き、何日も前から電話をじゃんじゃんかけたが、全くつながらず。つながっても「満席」と言われ……。ならば、早く行って並ぼうということで、開店の1時間前に張り切って行ってみたら、あらま一番乗り。

ちょうど台風直撃の日だから客は少ないのか(女一人で恥ずかしいな)などと思いつつ、軒下でひとりポツンと並んでいると、「今日はこんな天候なのでわずかに座り席に空きがありますよ」と店員さん。おお、ラッキー。座席代「プラス300円」と聞いてすぐに飛びつく。

開店時間の11時半に戻ってみると、予約の人と、並びの人ですでに店の前は大賑わい。

両者は分けられ、予約の人にのみメニューの説明が始まる。まるで、テーマパークのアトラクションのように、大声で男性店員が説明する。まずはシャンパンの説明だ。

「アンリ・ジローが、1杯999円。通常お店で飲むと、1杯1500円~2000円はしますよ!」

アンリ・ジローとは、イギリスやモナコなど、ヨーロッパ上流階級で愛飲されていた「幻のシャンパーニュ」というふれこみのシャンパン。

続いて、食事メニューの紹介だ。

「オマール海老のパスタが1289円。限定20食。原価90%!お昼限定のスペシャルパスタです!」
「シャリアピンステーキが1380円。限定10食。こちらは帝国ホテル一筋23年のシェフのスペシャリテ! 200gのステーキです!」

飲まなければ、食べなければ、損。そんな気にさせるアナウンスで、次々と限定メニューを説明していく。客達は、パブロフの犬のように、メニューを聞くたびに唾液がタラリ。先に席へ通される予約客がオーダーを終える頃に、座り席ではない行列客が入ってくる仕組みだ(この日は、30人以上並んでいた)。「立ちグルメの(予約)座り席」はそんなちょっとした優越感に浸ることができる。

ただ、予約客でも、オーダーで、もじもじしていたら限定メニューはなくなってしまうから、限定メニューに関してはいちいち選ばず、「ここからここまで全部」とオーダーする客も珍しくなかった。

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