勝利を仕組化し、優れた人材を抜擢

徹底して勝利を仕組化し、危うい幸運によるまぐれな勝ち方ではなく、盤石の態勢を持つことによる本来の勝ち方を目指す。『孫子』と正義氏の思想には、勝負に対するある種の共通点が見受けられます。また、優れた人材を吸収し全軍を勝利に導く「将」の存在をクローズアップしている点も、極めて似通っています。正義氏は「将」について以下のように語っています。

「どんな戦いをやるにおいても、優れた将を得なければ大きな成功はできない。(中略)皆さんを支える優れた将を最低でも十人、皆さんのために、場合によっては腕の一本、足の一本をいらんと、場合によっては命さえもいらないというぐらいの志を共有する、そういう将を皆さんがどれだけ部下に持てるかと。これが皆さんが大将の器として、山を引っ張れるかどうかというようなことになる」(書籍『孫の二乗の法則』より)

実際、正義氏はビジネスの節目、小さなベンチャーから台頭する過程で、出会ったビジネスマンの中で特に優秀な人を見つけ抜擢、勝負の最前線で重要な役割を担わせてきました。現SBIホールディングス代表取締役社長である北尾吉孝氏も、野村証券在籍時にソフトバンクの株式公開を担当したことで、正義氏と知り合い、ヘッドハントされた一人です。(ちなみに拙著『実践版 孫子の兵法』では北尾氏に帯の推薦文を頂いています)

正義氏は、単に優れた人材に仕事を任せるだけではなく、抜擢した人材が全力を発揮できるように、常に舞台管理をおこない「将」を挑戦の矢面に正しく立たせる配慮をしています。これも孫子の兵法に一致し、組織を一丸となって勝利に向かわせる基本と同じです。ある意味、2,500年前の孫子の兵法を、漏れることなく適切に使いこなす姿には、勝利へのあくなき執念を感じさせ、「兵は国の大事である」という孫子の基本理念に極めて忠実なビジネスを展開してきたともいえるのではないでしょうか。