生き残る人の選択肢を見つける5つの方法

「もうダメだ!」とすぐにリーダーが諦めてしまっては、周囲や組織は困惑します。問題に直面して、すぐに精神的に行き詰まり、抵抗することや打開を放棄してしまう人もいますが、そのような人はしょせんリーダーに向いていませんし、一流の人物になれるわけがありません。下手をすれば、家庭崩壊さえ招いてしまいます。

しかし『孫子』は、単に勇猛果敢でなんにでも恐怖を感じるな!当たって砕けろと言っているわけではないことに注目してください。誰でも怖いのです、誰でも精神的にへこむのです。優れた将軍でも、優れた軍師でもこれは同じです。では違いはどこにあるのか?

最大の違いは、彼らが問題に対して複数の選択肢を見つける能力と気概を持つことです。

問題の解決策は、常に一つではありません。それどころか、無限にあるといっていい。選択肢が一つしか思いつかない人は、それがダメならすぐに行き詰まります。それで簡単に「もうダメだ!」となる。つまり、選択肢を見つけられるかどうかが勝負なのです。問題に直面して困ったとき、あなたはどんな対策をすることで選択肢を見つけますか。

ビジネスだけではなく、プライベートや人生そのものの問題を解決する時にも、『孫子』の描く問題解決の指針は、苦境にあえぐ私たちを救ってくれる絶大な効果を発揮します。

【孫子に学ぶ選択肢を見つける5つの方法】
(1)別の専門知識を持つ人を探して味方にする
(2)自分のくだらないプライドをばっさり捨てる
(3)あなたが必要なものを、豊富に持つ人に泣きつく
(4)所属する組織を変わる、生きる場所を変える
(5)無能な上司を見限る、とばっちりを受けない場所まで逃げる

兵法書『孫子』は古代中国の呉で将軍となった孫武(そんぶ)によって書かれましたが、彼を呉王に推挙した伍子胥(ごししょ)という人は、楚の国で政敵に父と兄を殺されて、復讐のため呉に逃げて呉王の右腕になった人物です。

伍子胥は自分だけでは憎い楚国に勝てないと考え、天才的な戦略家である孫武を見つけ、自分の陣営に引き込みました。こうして呉と楚、さらには隣国で天才軍師の范蠡を抱える越を巻き込んだ3国の激戦が展開されるのですが、この歴史で打開策を見つけた人物は、先に掲げた5つの方法を見事に使いこなし、問題を巧みに切り抜けて生き残っています。

最強の兵法書『孫子』を学ぶ者にとっては、時に逃げることさえ最高の選択肢です。

「国は亡べばおしまいであり、人は死ねば生き返らない」と孫子は述べていますが、逆に勝負を避けて一時的に敗者になっても、逃げることで再起ができ、復活も可能になるからです。大切なのは、逃げるということも含めて選択肢を多く持つ精神的な余裕なのです。