顧客データの分析から見えた戦略とは

このように現場は目標未達に危機感を持っているが、上司から直接受ける圧力はそれほどでもないという。河口さんの店舗も、今年に入って業績が前年比で2~3割下回っている。普通なら上司である支店の営業部長から相当なプレッシャーをかけられるところだが、なぜうるさく言われないのか。

「じつは上司も戸惑っているんです。いつもは営業マンの約半分がノルマを達成しますが、今月はゼロ。これほどひどい有り様は、バブル入社組の営業部長にとっても、初めての体験。これまでのやり方が通用しないことはわかっているので、おそらく現場にどのように指示を出していいのかわからず途方に暮れているのでしょう」

では、数字を求める有形無形のプレッシャーが増す中で、着実に成果を出し続けている人は、いったいどのような取り組みをしているのだろうか。

前期は全国約1000人中20位の成績だった前出の小山さんは、好成績の理由を次のように明かしてくれた。

「まわりを見ていると、成績の悪い人ほど市場環境の悪化を言い訳にして、愚痴ばかりこぼしています。その気分に呑み込まれるとこちらのモチベーションも下がるので、なるべく成績がいい人を見るようにしています。幸い、うちの店舗には全国ナンバーワンの先輩がいる。その人に追い付こうと意識していれば、とくに目標数字を意識しなくても、結果はあとからついてくるはずです」