同じように上司からのプレッシャーが増したと感じているのが、外資系ソフトウエアベンダー勤務の大塚京子さん(仮名・34歳)。大塚さんの仕事は、製造業向けソフトの直販営業だ。

「おやっと思ったのが、この年末年始。例年はメーカーの正月休みに合わせて休みを取りますが、昨年末は急に部長が『ギリギリまで仕事しろ』と言いだして、お客さんの仕事納めである26日も営業に出向くことに。そのオーダー処理で翌週月曜日も出勤する必要が生じて、予定していた旅行をキャンセルせざるをえませんでした。12月が第1四半期の締めなので、数字をつくるために部長も相当に焦っていたようです」

ただ、上司が焦る事情もわかると大塚さんは言う。

「うちは外資系なので、成果が出なければすぐにクビを切られます。じつは去年1年だけでも、部課長クラスが3人辞めている。お客さんの財布の紐は以前にも増して固くなっているので、上司が神経質になるのは仕方がない。もっとも私も人の心配をしていられません。今期の売り上げは、いまのところ目標の50%にも達していませんから……」

すでに成績の悪い社員の肩たたきが進んでいる会社もある。河口純也さん(仮名・38歳)は、大手ハウスメーカーの地方営業店店長。各地の営業店の業績は昨年10月を境に軒並み落ち込み、成績が悪い営業マンは次々に子会社への出向を命じられている。

「出向先の多くは、リフォーム関連の子会社です。子会社は親会社で家を建てた顧客からの受注が中心なので、営業は比較的簡単。そのため数字のプレッシャーから解放されて、むしろホッとしたという人もいます。ただ、それだけ歩合も安く設定されているので、大幅な収入減は免れないでしょうね」

営業から去る人もいれば、新たに配属されてくる人もいる。むしろ前途多難なのは、後者の社員たちだ。

「今年に入って主力工場の閉鎖や本社管理部門の縮小が決まり、余った人員が営業に回ってくることになりました。しかし、営業のスキルがない社員が、この先やっていけるとは思えない。結局は売り上げをつくることができず、会社を去ることになりそうです」