民主党政権誕生も「必ず次の波がくる」

心を奮い立たせる三カ条

自民党の長い政権が終わって、現在の民主党政権は“平成維新”などと明治維新の新政府みたいないい方もされますが、明治維新は廃藩置県を行い、中央集権を目指しました。が、今はそれを地方分権に直そうとしているわけです。廃県置州というか道州制も視野に入れた、中央から権限や財源を基礎自治体に戻す流れで、あれから140年経って反対のこと、つまり逆維新をやろうとしているわけでしょ。まだ政権が始まったばかりなので僕の口からできるかどうかは言及できないが、必ずやっていただきたい。僕も地方分権あるいは地域主権をやりたいがために、この前の衆院選前に自民党、つまり時の政権に突っ込んでいったわけですから、地方分権に関して全く今の新政権と考え方は同じですけどね。

ただ衆院選前に自民党に異議申し立てしたことについて少し言わせていただくならば、自民党が変わらなければこの国は変わらない。民主党では変えられないと思っていた。だから自民党が自浄能力によって体質改善し、180度生まれ変わらなければ日本という国家は成立しなくなるだろうなと思ったもんですから。でも、衆院選から選挙後の自民党の内部のごたごたを見ていると、情けないっていうかちょっと残念ですね。僕が過大評価しすぎた……かなと。国民の選択のほうが正しかったかもしれません。

今回の政権交代っていうのは、戦後でいえば比較的に革命に近いものだと思います。ただ、野党とはいえ、国政の場にいた人たちなので、革命というより二大政党制の枠組みの中の政権交代なので、明治維新のような驚天動地、天変地異というか国をひっくり返すような革命ではありません。今回の政権交代で、どれくらいのスパンをかけて、地方分権が成し遂げられるのか興味深く見させていただきますが、それができない場合は、誰かがまたその次の波で、地方分権に何らかのアクションを起こしていかなければならないと思います。140年かけてできあがった中央集権体制と官僚システムですから、そうすんなりとは改革できないと僕は思っている。

そして地方の抱える問題の多くは、行政や政治判断では白黒付けられないことばかりです。行革の志士ではないが、たいへんな場所に飛び込んだと自分でも思っていますから、この世界に入って、無傷で生還しようとは思っていません。

もともと僕なんか貧乏だという点では維新の志士と同じですが、これから地方自治の首長には、本当に坂本竜馬のような「維新(幕末)の志士になる」と思う人に立候補してもらい、仲間に加わってほしいですね。

※すべて雑誌掲載当時

(吉田茂人=構成 青沼修彦=撮影)