「頭痛が治らない」 主婦Bさん(39歳)

昔から頭痛薬(鎮痛薬)は離せないというBさん。
ここ数カ月、薬が効かない。病院でMRIなど頭の精密検査を受けたが異常はなし。
今日は娘の塾の進学相談会。「どうしても行かなきゃ」と、朝から薬を飲んだが、痛みは治まらず受診した。

Bさんは、よくしゃべる陽気な人だったが、こめかみを左手の親指と中指で時折押さえるときには、しゃべりが止まった。

片頭痛(偏頭痛)や緊張型頭痛は頭痛の代表的なもの。女性の患者は、男性よりも約4倍いるといわれている。しかしそのどちらでもない、頭痛薬を飲めば飲むほど頭痛がひどくなる場合があることをご存じだろうか。薬物乱用性頭痛といわれ、同じ頭痛薬を過剰に使ううちに、軽い頭痛でも感じるようになり、痛みの回数が増えたり、ひどくなったりする。Bさんはまさにこのケースだった。

薬局で簡単に手に入る頭痛薬を、頻繁に飲むことは、頭痛持ちなら誰でも可能性があることだ。しかし月10回を超える服用により、それまでは感じなかった軽い痛みすら感じるようになり、薬をより頻回に飲むようになることがある。こうして、薬物乱用頭痛といわれる、薬のリバウンドがもたらす頭痛が新たな「頭痛の種」となってくる。

治療の第一の手段は、断薬。薬を中止すれば、次第に頭痛は減る。薬物乱用性頭痛にはもともと片頭痛や緊張型頭痛を持つ人が多いので、頭痛はゼロにはならないが、かなり改善される。頭痛が減らない人は、違う成分の薬で改善する場合もあるので、医師に相談しよう。

Bさんの頭痛の特徴は、「吐き気を伴う、動くと痛みが悪化、光や音に過敏、前兆がある、母親が頭痛持ち」と、まさに片頭痛の典型だった。4カ月前から頭痛が頻回になり、生活に支障が出始めた結果、ほぼ毎日、薬局で買ってきた頭痛薬を飲んだが頭痛はむしろひどくなり、家事も十分にできない日が続いた。

実はBさんは、いつも薬局で買っていた頭痛薬Xに効果がないと感じて、1カ月前に別のブランドの頭痛薬Yに変えていた。それでも効果がなかったのはなぜだろう?

市販薬XとYは別の製薬会社から出されているものだが、ほとんど同じ成分の薬だったのだ! これでは薬物乱用性頭痛は改善しない。市販薬は、違う製品でも同じ成分で作られていることがある。薬物乱用性頭痛が疑われるなら、まずは医師の診断を受けよう。そして、薬をやめるか、まったく違う成分の薬に変更するかを相談しよう。

西澤宗子
総合診療医。大村病院健診センター長。千葉大学医学部附属病院総合診療部。3人の男の子の母。総合診療医とは「何科に行ったらいいかわからない」症状に対して、“科”にかかわらず全体的に診断する。