石川さんの場合、まず近所にあった970万円のワンルームマンションを自己資金で購入することから始まった。それまでに一度、過労で倒れたことがあり、そのときに本業とは別の他の収入をつくることはできないかと思っていたことが、もっとも大きな動機になったそうだ。

そのワンルームマンションを賃貸して大家になり、ノウハウを身に付けて、お金の流れを学習する。不動産が税金面で有利なこと、たとえば、建物の減価償却費が経費になることや、赤字の場合は給与所得等と損益通算され、赤字分を所得金額から差し引けるので所得税が少なくなることなどもあらためて実感する。

そして次は、一棟買いにトライ。一棟買いは自己資金だけでは無理なので、銀行と借り入れ交渉をすることになる。「門前払いされた銀行もあったが、ワンルームマンションで培ったノウハウを認めてくれて融資してくれる銀行を見つけた。もし、住宅ローンのような他の借金があれば、融資してくれなかっただろう」。

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不動産投資「一棟買い」の収支・利回りの例(年間)

一棟買いの場合、実際の収益がどれくらいになるかは、一例を挙げると図のとおりである。予期せぬ修繕費等が必要になったりして経費部分は年ごとに変動するが、この一棟で年間およそ174万円の副収入が入ってくることになる。ローンを完済した後は、大規模修繕をしたり、新しいマンションに建て替えたりして対応できる。一部を自宅にすることも可能だろう。

「不動産投資の最大の利点は、ほとんど働かなくても定期的に収入が入ってくること。不動産という資産が稼いでくれる。賃貸物件の管理等は管理会社に任せているので、自分が大家業として仕事をしているのは、収支報告書のチェック等、1カ月に1時間程度。他の副業の場合そうはいかないと思う。副業のために働かざるをえず、本業との両立で疲弊してしまうかもしれない」

そんな魅力的な不動産投資だが、そんなに簡単にできるのだろうか?

以下、これから不動産投資を始めようと思っている人に、石川さんからのアドバイスを列挙してみる。

まず「最初は全額自己資金での投資、ワンルームマンション、立地のよい中古物件でスタートする」こと。すなわち、自己資金の範囲内のワンルームマンションを購入し、大家としてノウハウとお金の流れを身に付ける。立地がよくて空室にならないことは極めて重要だ。