セレブリックス(正式にはセレブリックス・ホールディングス)は経営コンサルティング会社であり、EQの検査システムを開発したEQジャパンと提携してEQの考え方を応用した研修を実施している。アイケイはセレブリックスから講師を招く形で、約500名の社員全員に、EQ研修を受講させているのである。

セレブリックス・コンサルティング事業本部の武藤覚氏は言う。

「EQをどの程度職場や対人関係の場面で発揮しているかを検査できるのが、EQアセスメントですが、医療にたとえれば、これは診察に当たります。われわれが最もこだわっているのは成果をあげることです。診察の次に処方があって、治療があってというステップを踏むことで、初めて治癒という成果が出るわけですが、われわれのEQ研修ではこうしたステップを設けることで、確実に成果につなげていきます。せっかくEQアセスメントを受けても、診察だけで終わっては意味がないのです」

自ら受講経験を持つ松山氏の体験談を聞きながら、EQ研修の全体像を見渡してみることにしよう。

まず、EQ研修はEQアセスメントを受けることから始まる。EQを構成する24の要素について、各10問程度の設問に答えていく。24の要素の一例をあげてみると、まずトップにあるのが「自己認識力」という大きな括りであり、それがさらに「私的自己意識」「社会的自己意識」「抑鬱性」「特性不安」の4つの要素に分かれている。武藤氏の解説を聞いてみよう。

「自己認識力とは、文字通り、自分を認識する力のことですね。その中にある、私的自己意識では、自分自身を振り返ることができているかを見ます。次の社会的自己意識では、人の目を通して自分を振り返っているかどうかを見る。各要素についてスコアが出てきますが、点数が高ければいい、低ければ悪いということではなく、自分のEQを知ることが大切なのです」

EQ=「心の働かせ方」と考えるとわかりやすいだろう。まずは、自分がいま現在、どのような心の働かせ方をしているかを、このEQアセスメントでチェックしていくわけだ。

アセスメントの結果はレーダーチャートで示され、24の要素すべてに関してコメントが返ってくる。たとえば、私的自己意識のスコアが高かった場合には……。

「いつでも自分の心の動きや内面に関心を持ち、自分の心の状態や動きを、常に明確に理解し把握することができています」

といった具合。

各要素のスコアは、心内知性、対人関係知性、状況判断知性という3つの大項目に集約され、それぞれの評価が5段階評価で出てくる。ちょっと通知表に似ているが、これが被検者のEQの現状ということになる。