(5)個々のメンバーの能力を他のメンバーに知らせる

バーチャル・チームを管理する際には、一人ひとりのメンバーに自分の役割とチームメートの役割を明確に理解させなければならない。また、各人の専門知識を他のメンバーに知らせることも怠ってはならない。

チームメートの能力を信用することは信頼の重要な構成要素だとニールは言う。「チームメートにその仕事をする能力があることを信じなくてはいけない」。メンバーの強みや経験を把握することは、マネジャーの責任である。

(6)文化に関する理解をはぐくむ

バーチャル・チームは往々にして言葉の壁やビジネス慣行の違いを乗り越えなければならない。この種の相違が理解されていない場合には、バーチャルな同僚を無視するとか、信用しなくなるといった問題が生じやすい。

たとえば、単刀直入に仕事の話に入りがちなアメリカ人の電子メールは、他の文化の人々には得てして非礼と受け取られる。ニール自身、こう話す。

「メールの冒頭に挨拶の言葉を入れるようになってから、ヨーロッパや中東の仲間からそれまでよりはるかに好意的に受け取られるようになった」

誰もが異なるアクセントの英語を話す電話会議は文化的な誤解や失敗の地雷原になりかねない。バライカは、海外チームとの会議で他の参加者が話していることを理解できないときは、ゆっくり話してくれとか、もう一度言ってくれと頼むことにしている。「何度もやっているうちに、他の人々もよくわからなかったことを聞き返すのをためらわなくなるはずだ」と、彼は言う。

遠隔会議は英語を母国語としない人にとってはとくに難しいことがある。彼らは臆して何も発言せず、グループ全体が彼らの意見やアイデアを聞きそこなうという結果になりかねない。この傾向に対処するため、ヒューレット・パッカードのマネジャー・グループは、会議の冒頭に必ず「ウオームアップ」の時間を設けることにした。各参加者に最近体験した出来事について2~3分話してもらうことにしたのである。コミュニケーションの通路を補強することに加えて、このエクササイズは互いのスキルや関心についてより深く知る機会にもなった。それこそまさしく、きわめて重要な信頼関係を築くために必要なものなのである。

(翻訳=ディプロマット)