日本人が望むサービスとは何か

アンケートによれば、客が「いいサービス」と認める理由の筆頭は「親切、丁寧」であり、以下、「要望への対応」「言葉遣いや礼儀」「笑顔」ときて、最後に「商品知識」と「待たされないこと」が続く。

本来ならば、客が望むサービスの第一に挙げられるのは商品知識の豊富さであるべきだろう。洋服のサイズがわからない従業員、料理の味付けを説明できないウエーター、乗り継ぎ便を把握していない航空会社のカウンター係に対してはクレームが出て当然だ。しかし消費者は、従業員が商品知識を持っていることは当然だと考えているようだ。

日本の接客サービスは、世界的に見れば水準以上だ。海外のファストファッションの店、航空会社のカウンターへ行けば、行列ができているにもかかわらず従業員がおしゃべりに興じていることがある。そして、客は注意するでもなく、ただただおとなしく待っている。

もし、同じようなことが日本で行われたら、行列のなかから額に青筋を立てたおじさん、おばさんが出てきて、「お前ら、いい加減にしろ」と怒鳴りまくるだろう。そしてそういうおじさん、おばさんは、怒鳴らず我慢する客の心の中にも、いる。

接客サービスを提供する側にとっては、大変な時代がやってきたといえる。客を怒らせずに上手にプライドをくすぐる方法。つまり、「人格、識見に富んだ従業員によるやさしく丁寧な接客」が常に要求されているのだ。人件費が高騰するなかで、いかにコストをかけずに接客サービスを向上させるかが、企業の業績を左右しそうだ。

アンケート実施概要 ● 2014年7月8~9日、全国の30~60代の男性515人、女性515人を対象にアンケートを実施。「値段の割に店員の接客力・おもてなし力が高い」と感じた、あるいは「店員の接客態度があまり良くない、接客力が低い」という印象があるチェーン店名・会社名を、小売り、飲食、その他サービスなどについて、それぞれ1つずつ自由回答。合計で10件以上の回答があったチェーン店、会社についてランキングした。年齢構成は30代36.9%、40代37.1%、50代25.1%、60代0.9%。地域構成は北海道5.3%、東北5.0%、関東39.5%、中部17.0%、近畿16.7%、中国4.2%、四国2.5%、九州9.8%。

(坂本道浩=撮影)
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