●社員を顧客にする

製品ではなくサービスを提供している企業も、経営幹部や社員に顧客の視点を学ばせることができる。ジェニー・クレイグ社はその主要顧客である「体重を20~40キロ落としたいと思っている25~55歳の女性」について深く理解している人間を採用するよう努めている。また、できるだけ多くの社員が自社のサービスを利用することを奨励している。

さらに、自社のサービスを利用する社員に、一般の顧客が出合う経験と同じ経験に出合わせるよう努めている。

この戦略のおかげで、店舗から遠く離れたところに住んでいる顧客や、店舗まで行ってダイエット・カウンセラーに直接会うのは恥ずかしいと思っている顧客のための電話カウンセリングなど、新しいサービスの創造が活発になっている。

●顧客の声を聞かなくてもよい場合

デンバーに本社を置くコンサルティング会社、ノウウェア・インターナショナルのジェイ・アーサー社長は、経営幹部は必ずしもすべての顧客の声を無条件に聞くべきではないと主張する。「既存の製品やサービスを改良したいのなら、顧客の声を聞くのは賢明だ」が、新しい製品やサービスを開発したいのなら、既存の顧客の声を聞くべきではない、と彼は言う。むしろ、「プロトタイプをつくって新しい市場の見込み顧客で迅速にテストできるよう、まったく新しいものを生み出し」、テストの際に、新しい潜在顧客に、どこに問題があるかとか、何が気にかかるかといったことを尋ねればよいというわけだ。

(翻訳=ディプロマット)