2014年9月20日(土)

ミドル、シニアのための「転職・再就職」ガイド【1】

PRESIDENT 2013年3月4日号

著者
溝上 憲文 みぞうえ・のりふみ
ジャーナリスト

溝上 憲文1958年鹿児島県生まれ。ジャーナリスト。明治大学政治経済学部政治学科卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』(文春新書)で2013年度日本労働ペンクラブ賞受賞。主な著書に『隣りの成果主義』『超・学歴社会』『「いらない社員」はこう決まる』『「日本一の村」を超優良会社に変えた男』『マタニティハラスメント』『辞めたくても、辞められない!』『2016年 残業代がゼロになる』など。近著に『人事部はここを見ている!』(プレジデント社刊)がある。

執筆記事一覧

溝上憲文=文 プレジデント編集部=撮影
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これまでの経験を活かして、働き続けることはできるか──。キャリアを変えた人の経験談から、雇用市場の実態が見えてきた。

ニーズがあるなら70歳まで続けたい

週1回の勤務で月額20万円、60歳以上も歓迎──。こうした働き方をする新しい形の「企業顧問」が、いま増えつつある。

企業顧問:年収240万円~(週1回勤務) 
富井 元●1970年東海銀行入行、2003年UFJ銀行常務退任、UFJ総合研究所専務へ。10年三菱UFJリサーチ&コンサルティング専務退任。12年顧問紹介に登録。

メガバンクでのアジア駐在経験を買われて人材紹介大手インテリジェンスの顧問(アドバイザリー)を務める富井元さん(66歳)もその1人だ。現在は、主に中国での拠点に対して、人材紹介業務の支援を行っている。富井さんは「中国ビジネスの方法論を伝えるのが私の役目ですね」と話す。

「33年間の銀行員時代に中国、台湾、シンガポールなど4カ国に15年間駐在し、主に日本の製造業とおつきあいしてきました。その経験とネットワークを生かし、顧客である日系企業のトップと当社の中国拠点のトップを引き合わせてビジネスを仲介するのが私の仕事です。顔見知りの経営幹部にアポを取るなど、私の人脈が直接役立つこともあります。自分のキャリアを活かした仕事ができるので、とてもやりがいがありますね」

富井さんはUFJ銀行(現・三菱東京UFJ銀行)の元常務という実力者だ。57歳のときに銀行から子会社の三菱UFJリサーチ&コンサルティングに移り、2010年に63歳で退任。その後、個人事務所の設立などを経て、2012年5月にインテリジェンスの顧問紹介サービス「i-common(アイコモン)」に登録。2012年7月からいまの仕事をはじめた。

サービスの特徴は顧問を短期で起用できる点だ。経験豊富なベテランに相談したいというニーズはある。ただビジネスの先輩を自社に呼ぶには、コストやしがらみが心配だ──。こうした問題を解決するため、人材紹介会社が仲介をする。

アイコモンには大企業の役員・部長の経験者約2000人が登録しており、約半数が顧問として派遣されている。契約期間は1~2年間。週1回から顧問派遣を依頼することができる。支払額は登録者のキャリアに応じて異なる。費用は月額25万円から。主な顧客は中小企業だ。経営資源の限られた中小企業にとって、大企業のノウハウを時間単位で導入できるメリットは大きいだろう。大先輩だからといって、過剰な気遣いは無用だ。

一方、派遣される側の報酬は、週1回で月額約15万~20万円が基本的な金額になる。おおよそ1日で5万円だ。キャリアによっては1日10万円の報酬を得る人もいるという。

富井さんは現在、週4~5日ほど顧問の仕事をしている。2012年12月からは、インテリジェンスのほかに、新しくIT関連企業の顧問も引き受けた。忙しいが、それでも夜の9時か10時には就寝。平日の夜や休日はテニスやジョギングで体を鍛えている。「家内には『家にはいるな』と言われています(笑)。現役時代にたとえれば、課長ぐらいの密度の濃い働き方をしていると思いますよ」という。

「週3日ぐらいは社内での会議や打ち合わせ、残りは国内や海外への出張です。10日間の海外出張をしたこともあります。出社時間は決まっていませんが、午前10時から正午までのコアタイムには社内にいることが求められています。仕事は密度が濃くて、くたびれます。でも結果を出す仕事というのはやはりおもしろいですよ。私へのニーズがあるなら、70歳ぐらいまでは続けたいと思います」

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