仕切り屋のケアマネは黄色信号か

Iさんは車椅子のレンタルに関わるやりとりの実例をもとに、本当にコミュニケーション能力がある人か否かを見極める方法を教えてくれました。

「車椅子にはいくつかのグレードがあり、レンタル料金もさまざまですが、ケアマネージャーのなかには、グレードの選択をせず一番安いタイプにする人がいるんです。レンタル会社には利益第一で高いタイプを勧めるところがあるのも確かです。そういう会社の口車に乗らず、より安い車椅子を選んだ方が要介護者のため、と気を利かせたつもりなのかもしれません。ただ、安ければいいとは限らないんです」

そして、次のような解説をつけ加えました。

「車椅子は要介護者によって使い方が異なります。通院などの外出で家からクルマまでの移動だけに利用する人もいる。デイサービスに行く時に使う人もいます。デイサービスの場合は、施設に行っても車椅子に座ったまま過ごすことになります。3~4時間、長ければそれ以上、座っていることもあるわけです。健康な人でも同じ椅子に座ったままだと、お尻が痛くなったりしますよね。で、体を動かして重心を変えたり、足を組んだりします。体が不自由な要介護者はそれができませんから、ひたすら耐えるしかないんです」

車椅子のグレードの違いは座り心地の差といっていいそうです。安いものは最低限の機能があればいいという設計で、クッション性も少ない。要介護者により多くの苦痛を強いるとのこと。それが原因でデイサービスに行くことを嫌がるようになったり、体の具合を悪くし要介護度が進んでしまったりすることもあるそうです。

「もちろん経済状況によって安いものにせざるを得ない家庭もあるでしょう。でも、余裕のある家なら高くても問題はないはずですし、経済的に苦しい場合でも要介護者につらい思いをさせたくないと思っている家族もいるわけです。ケアマネージャーは、そうした家の事情や家族の思いを会話からしっかりとくみ取り、適切なサービスを提供する存在であるべきなんです」