丸ごと楽しんでしまえ!

さて、共働き夫婦のための男の心構えはこのくらいにして、女はどうやってこの難局を乗り切るか?

それは、ちょっときれいごとのようですが、手におえない子育ても、ストレスフルな仕事も、やってもやっても終わらない家事も丸ごと、楽しんでしまうことだと思うんです。

先日私は、あるアメリカの調査記事を読み感銘を受けました(出典を忘れてしまいましたが、確かこんなことが書いてありました)。人間にとって幸せとは何か?という記事です。

すると、人間にとって幸福を感じる瞬間の1つとして「特定の集団に属していることと、そこで行われる様々な催し事に参加しているとき」とあったのです。

何か感じるものが、ありませんか?

人間は一つの集団に属しているというだけで安心と幸福を感じ、そこで行われるイベントに最上の喜びを見出す生き物だということがアンケート結果により証明されていたのです。

そう考えると、「家庭」という集団を持ち、そこから生まれる様々な催し事――子どもの運動会や七五三などのイベント――を経験でき、さらには、会社という集団に属し、そこから派生する様々なイベント――日々の仕事やプロジェクト、飲み会や社内イベント――などに参加できる、つまりは最低2つの集団に属しているワーキングマザーはなんと幸福な種族なのでしょうか。

だから、その状況を余すところなく味わい尽くすことが、忙しすぎる毎日を乗り切る1つの心構えだと思うんです。

楽しむ――のが目的なのですから、すべてが100点である必要はありません。

だいたい、その人が楽しんでやることは仕事でも育児でも家事でも、不思議なことに良い得点がつくはずです。

嫌々作った料理がだいたい不味く、適当でも楽しんで作った料理が美味しいように。

女性の皆さん、仕事も家庭もどっちも楽しみながら、適当にやろうじゃありませんか。

佐藤留美
1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。