■カンコツだけじゃダメだ

カンコツとは、「勘とコツ」のこと。上司たるもの、部下に対して「スキルは見て盗め」と言い放つだけではいけないという意味。

何かの仕事に長けるとその経験で培った勘とコツで本人は易々と成し遂げることができる。そんな人は部下などに教えるよりも自分で作業をしてしまったほうが早い。

しかし、リーダーや上司のような立場になったらそうはいかない。初心者などに理論立てて説明できることが理想的。例えば、自動車の溶接なら、溶接棒を持つ角度は何度くらいが適当か。ガスの火口の芯は何ミリにすればいいのか。具体的な「数値」でとらえて解説すれば、相手の解釈の間違いは減り、理解力もあがるのだ。

部下は上司を選べない、だからこそ人材育成には力をいれよ、というトヨタならではのきめこまやかな対処を証明する言葉。

■要因から真因を探せ

どんな製造現場でも何かトラブルが発生すると、要因はいろいろあがってくる。調べ上げれば、簡単に50でも、100でも出てくる。しかし大事なのは、あくまで「真因」を追究することだということ。

たくさんある要因の中から何が「核心」なのかをつかまないと、再びトラブルに見舞われてしまうからだ。

そうしたとき、トヨタでヒントとすることがあるのが、一般的にもよく使われている問題解決方法「4M」だ。すなわち、MAN(人)、MACHINE(機械)、MATERIAL(材料)、METHOD(方法)。それぞれの切り口で探ることが真因にたどりつく近道となる。

■現場の四隅を見なさい

トヨタのモノづくりの基本である4S(整理・整頓・清潔・清掃)をしようとしたとき、部屋や空間の真ん中あたりは、それらが実行できていても、壁際や角(隅)は雑然としていることが多く、注意が必要だということ。意識して四隅をチェックすることがトヨタのリーダーの重要な役割となる。

また、四隅=「日常、見落としがちな部分」をよく見る、という解釈をすれば、空間だけでなく、地味であまり存在感のない「埋もれた人材」にしっかり目を配ることもまた、リーダーの大事な任務となる。