たとえば居酒屋チェーンを展開するコロワイドの一人当たり売上高は約5300万円で、しまむら(約2億1600万円)の4分の1に満たないが、同業のワタミ(約2600万円)と比べると約2倍の水準(いずれも連結ベース)。単純に数字を見るのではなく、同業他社と比較することが重要だ。

待遇については、「従業員一人当たりの人件費」を見てみよう。

非製造業の場合、(連結)損益計算書やその注記事項から人件費の情報を読み取ることができる。人件費には、給与、賞与、退職給付費用、福利厚生費、役員報酬などが含まれる。会社によっては(連結)損益計算書の注記事項に人件費の主要な費目が記載されているので、これらを合算すればいい。そうして求めた人件費を平均従業員数で割ったのが、従業員一人当たりの人件費である。

有価証券報告書に平均年間給与が記載されているが、計算方法が統一されているとは限らないため、一人当たり人件費とあわせて比較したい。

リストラを行う際には割増退職金が支払われることが多く、有価証券報告書に特別損失として記載される。「割増退職金」「特別退職金」「事業構造改善費用」「構造改革費用」といった項目がないか、過去5年分くらいを確認したい。

以上、複数の項目を挙げたが、「この指標が悪ければブラック企業」と言い切ることはできない。これら複数の指標や業界の特性などを踏まえ、総合的に判断したい。

※掲載した有価証券報告書の数字は、2014年7月14日現在、各社ホームページに記載されている最新版。

(構成=高橋晴美)
【関連記事】
渡邉美樹「ブラック企業疑惑のすべてに答えよう」
「入ると不幸になる」ブラック企業の見分け方
大学中退、ブラック企業就職で見えたもの
学生が嫌うブラック企業とはどんな企業か
正社員の間で進む「働き方格差」とは