桑水流裕策(7人制ラグビー日本代表)

くわずる・ゆうさく●1985年10月生まれ、鹿児島県出身。鹿児島工業高校を経て福岡大学へ進学。卒業後はコカ・コーラウエストに入社した。大学2年でセブンズ日本代表に抜てきされる。元15人制日本代表。10年にわたりセブンズ日本代表のキックオフのスペシャリストとして活躍。コカ・コーラウエストでの所属は販売機器サービス。188cm、95kg。

灼熱の8月某日。7人制ラグビー(セブンズ)のシニアアカデミー。日本代表の大黒柱、桑水流裕策が走り、跳び、ボールをキャッチする。桑水流は「くわずる」と読む。愛称が「ツル」。空中戦のスペシャリストの28歳は「アツいすね」と汗を流しながら、控えめな笑顔を振りまく。

「疲れていますけれど、リオデジャネイロ・オリンピックのために今、苦しんでいるんです。オリンピック出場が夢ですから」

福岡大2年生の時にセブンズ日本代表に抜てきされてから、もう10年の歳月が経つ。ずっとトップの座を維持してきた。セブンズ国際大会出場数では前人未到、通算30大会を突破している。

トップ維持の理由を問えば、「ミスターセブンズ」は朴訥とした語りで漏らす。

「(10年は)長いといえば長い気もしますけど……。アッという間でした。15人制ラグビーでも、セブンズでも、どっちでも一生懸命やってきました。チーム練習もいつも100%、おろそかにしたことはありません。その積み重ねです」

188cm、97kg。もはやセブンズ日本代表には欠かせない存在である。3月のコアチーム昇格決定戦(香港)では日本優勝の原動力となった。日本に今秋からのワールドシリーズ参戦の権利をもたらした。

日本にはセブンズ専門の選手は、いない。桑流水も所属のコカ・コーラウエストでは15人制のフランカーでプレーする。15人制の日本代表に選ばれたこともある。夏合宿では15人制のコカ・コーラウエストの網走合宿に参加し、このシニアアカデミーに合流した。

「どっちにも対応できるようになりたい。メインはセブンズなんですけれど、その合間にトップリーグ(15人制)のゲームに出られるような選手になりたい」

課題は。

「ボールを持って仕掛けるプレーがあまり得意じゃなかったので、1つでも仕掛けのプレーができるようになれば違ってくるんじゃないかと思います」

鹿児島工業高から福岡大に進み、コカ・コーラウエストに入社した。モットーが『楽あれば苦あり、苦あれば楽あり』である。そのココロは。

「きついことしたら、絶対、楽しいことじゃないけれど、自分にとっていいことが返ってくるので。そう思うと、やる気が出るじゃないですか」

よく見れば、両耳ともひどくつぶれている。練習後の囲み取材の際、ラグビー専門誌の某編集長から右耳の写真を撮られても、「ありがたいです。どうぞ、どうぞ」とやさしい。高校時代にタックルの練習のし過ぎで両耳をつぶしたそうだ。

俗称「ぎょうざ耳」は頑張り屋の勲章みたいなものか。

「オリンピックまで、あと2年。サッカーのワールドカップで見たリオのスタジアムでオリンピックが開かれます。想像すると、ワクワクします」

耳の端からも汗が流れ落ちる。リオ五輪のアジア予選は来年。“いぶし銀”のミスターセブンズがリオ五輪に向けてジャンプする。