時代は変化し、それを取り巻く環境も整い始めたセカンドライフ。充実した第二の人生を過ごすため、一度真剣に見つめ直してみたい。

起業や学びのニーズを
多様な制度が後押し

団塊の世代のリタイアが本格化するなか、日本人のセカンドライフのあり方が着々と変化を始めている。ライフステージの移行をチャンスに、時間と自由を生かして新しい可能性を追求するシニアが増えているのだ。

例えば、注目すべきトレンドの一つとして挙げられるのが、シニア層による起業の増加だろう。『中小企業白書』によれば、起業家のなかで60歳以上が占める割合は年々高まり、2012年には32.4%になっている。国や自治体等による一般的な創業支援に加え、「女性、若者/シニア起業家支援資金」など、シニアを対象とした助成制度も追い風となって、経験を生かし、充実感と経済的なゆとりを手にする人が増えているのだ。

一方で、多忙ゆえに叶わなかった、新しい学びに挑戦できる機会も広がっている。

従来の生涯学習の理念を発展させたリカレント教育の流れで、大学や大学院の社会人入学制度も拡大。また、「シニアカレッジ」と呼ばれる通年型や宿泊集中型のコースをはじめ、大学などの高等教育機関で専門的内容を学べるシニア向け講座も増加しており、シニアの学習をサポートする制度を設ける地方自治体も登場した。

こうした高度な学びからは、新たな知識を得る喜びに加え、収入につながる技能・資格の取得や語学力アップといった実利的メリットも期待できる。

生活の拠点となる
住まいの整備にも関心

そして、オン・オフ両方の活動をより充実させるため、生活の拠点となる住まいの整備や改善にも関心が集まっている。趣味のスペースを拡充したい、集中できる書斎が欲しい、自宅を事務所にして起業したいなど、ライフステージの変化に応じた要望をどう実現するかが工夫のしどころだ。

シニアの住まいでは、暮らしやすさや安心感も重要なポイントになる。震災を機に住宅の耐震性が高い関心を集め、住まいの建て替えが増加。特に60代以上の世代での伸びが目立った。近年の住宅における機能面の進化は耐震性以外の面でも著しく、断熱性の強化やバリアフリー化など、住まいの機能アップへの志向も窺える。

また、セカンドライフでは親族やコミュニティとの関わりも大切。高齢者に対する内閣府の意識調査では、住み慣れた家で暮らし続けたいという意向が強く、身体機能が低下しても自宅に留まりたいという回答が65%を超えている。

建て替えやリフォーム等に関しては各自治体の補助金制度があり、本年に入って相続税法上で優遇を受けられる「同居」の条件が緩和されるなど税制も変化している。どんな暮らしを送りたいかという具体的なイメージとともに、資金などの条件も考慮しながら建て替えや住み替えも検討してみたい。

7月末に発表された厚生労働省の調査によると、日本人男性の平均寿命が80歳を超え、女性も過去最高を更新した。活動的なシニアを支援する環境が整うなかで、セカンドライフの可能性はさらに広がっている。

この状況を生かすには、ビジネス同様に戦略が欠かせない。わずかな知識や情報の差で、その充実度が大きく変わる可能性もあるセカンドライフ。現役のうちから、確かな情報を収集しておくことが重要といえそうだ。