仕事帰り、夜のアパートで……

そんななか、2人で会社を立ち上げることになったのは、加藤が月に一度くらいベンチャー企業の社長を呼んで、酒を飲みながら話を聞く交流会みたいなものを立ち上げたからでした。10人ほどのメンバーの集まりで、僕もときどき顔を出すようになったんです。

当時の僕はYRP(横須賀リサーチパーク)にいて、ネットワーク系の基礎研究をしていました。本当はもっとサービスを企画開発する部署に行きたかったのですが、配属されたのが研究所だったもので……。まあ、論文を書いたり特許を取ったりという研究は嫌いではなかったんです。でも、やっぱりユーザーに近い、反応がダイレクトにわかるような部署に行きたかった。だから、仕事だけでは満たされない思いがあって、夜の空いている時間にそれを埋める何かをしたい気持ちが強かったんです。

確かにそんなに夜遅くまで忙しい職場ではなかったから、加藤も声を掛けやすかったのかもしれませんね。それが2006年のことです。お互いに「ちょっと何かやってみよう」という軽い気持ちで会うようになった。もし最初から希望通りサービスの企画開発の部署にいたら、加藤に声をかけられても心が動かなかったかもしれません。そのうちにスカイプを使った中国語会話をやってみたんですが、まったく人が集まらなかったので次に英語で初めてみたわけです。

あの頃は加藤もまだ就職していたので、お互いに議論を交わすのは仕事を終えて夜になってからでした。競合他社のサービスを比較したり、値段設定について話し合ったりするのもすべて夜。サービスのプレリリース後に加藤が会社を辞めてからは、僕もこっちの仕事の方が断然楽しくなってきました。

そうした話し合いは、最初の時期は白山にあった加藤の家でやっていました。1DKくらいの賃貸アパート。彼は奥さんと二人暮らしだったので、平日の昼間に彼女が仕事に行っている間に、僕らがリビングでいろんな作業をするんです。新しいものを作っているときは、時間の感覚がなくなるくらい楽しい。ただ、夜になると奥さんが帰ってきて、2人が喧嘩を始めたりするので、気まずいなあと思ったこともありました(笑)。そういう会社の始まりの様子は僕も加藤も特にこれといって話さないので、いまの社員たちは知らないですけどね。

僕らの役割分担もそのディスカッションの中で、技術的なところを僕がすべてやって、加藤はフィリピンに行って講師を集めたりトレーニングをしたりする、という形になっていきました。サービスが始まった後は打ち合わせをスカイプにして、カスタマーサポートを交代で担当する体制になりました。レッスンの時間帯は、最初は夜の9時から深夜1時までのビジネスマン向け。土日だけは朝からサービスを提供していました。今は早朝の6時から深夜1時までレッスンができますが、それもそのなかで徐々に時間帯を拡大していったんです。