2014年8月15日(金)

西の魯山人が愛した真っ黒なカレーがある。

日本人なら食べておきたいカレーライス[2]

dancyu 2012年8月号

文・森脇慶子 撮影・kuma*

「東洋軒」のブラックカレーライス

朝日屋名産松阪牛100%使用「プレミアムブラックカレーライス」。飼育農家から直に松阪牛を仕入れている「朝日屋」は、良心的な価格で販売する津市の名精肉店。

ブラックカレーは、黒曜石のごとく黒々とした光沢を放っていた。仕掛け人は、西の魯山人とも称された川喜田半泥子(はんでいし)。銀行頭取にして美食家。卓越した陶芸家として知られる彼の「黒いカレーをつくれないか」の一言から端を発し、「東洋軒」初代猪俣重勝氏が生み出した。

黒いルウの決め手は、牛脂で粉を20日余りもじっくりと炒め上げていく気の遠くなるような手間暇。一見、焦げたようなルウだが、苦味は皆無。時間をかけて炒めることで脂と粉が完全に一体化。このルウをベースにブイヨンや炒めた玉ねぎ、牛切り落とし肉などを加えて煮込んだ後、さらに2日ほどねかして仕上げるカレーソースは、粉臭さはもちろん、粉自体の重さも感じられぬほどサラリとした口当たりになっている。

プレミアムブラックカレーは通常のそれをワンランクアップ。ルウを炒める牛脂からブイヨンとともに煮込む肉もすべて松阪牛を使用している上、客に出す際にも松阪牛の切り落とし肉を60gも加える豪華版。カレー好きを自認するならば、一度は食べておくべき名品である。

黒いルウの秘密をちょっぴり初公開!

純粋な牛脂で小麦粉を弱火でゆっくりじっくり炒めること約20日間。

焦がさぬよう真っ黒になるまで炒めたルウは、香ばしく粉臭さは皆無。写真奥の濃い黄色のルウが2日目、順に3日目、4日目となり、一番手前が20日目の完成したルウ。焦げる“一歩手前”で切り上げるタイミングが要。見事に真っ黒である。

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森脇 慶子