表を拡大
あなたの仕事は1歩いくらですか?

折からの人手不足にとどめを刺したのは牛すき鍋なのか。すき家を運営するゼンショー広報に確認を取ると「そもそも3月は卒業や進学で学生バイトの入れ替わりの激しい時期ですから、そのタイミングでの投入というのは判断ミスだったかもしれない。そのことに関してはゼンショーHD会長・小川賢太郎も一部のバイトの負担が増えてしまったとして謝罪を行っています」との回答を得た。

すき家は3月、全国約2000店舗のうち約200店舗を一時休業させた。「パワーアップ改装中」という貼り紙が掲示された電気の消えたすき家を、多くの人々が異様な光景として記憶していることだろう。

「パワーアップ改装では厨房機器のチューンアップを中軸に据えています。われわれのようなチェーンでは技術革新によって新しい機器を導入すれば、それだけでクオリティが上がったり、作業が効率化されますので」と広報は語る。しかし前出の元店員は「友達は『何が変わったのかよくわからない』と言ってます。店がちょっときれいになったかな、という程度。本部の人たちが本気で変えようと思わない限り、きっと何も変わらないと思います」とため息をついた。

人手不足は外食産業だけの問題ではない。都内で訪問介護、居宅介護支援を行うケアリッツ・アンド・パートナーズの宮本剛宏社長は介護業界の構造が人手不足を加速させていると指摘する。

「介護業界に人が集まらない理由ははっきりしています。体力的にきついこともありますが、それ以上に業界全体の給料が安すぎる。全産業平均を8万円(年間100万円)も下回る月給約20万円ですから、たとえ志を持った人でも心が折れてしまう」

一体なぜそのようなことになっているのか。

「規模の小さな会社が多くて、利益を出せないまますぐに潰れる。しかもほとんどの場合、キャリアパスが用意されていない。安い給与のまま使い潰されていくんです」