2014年8月8日(金)

京都市民が泣いて喜ぶカレーが、なぜか姫路にある。

日本人なら食べておきたいカレーライス[1]

dancyu 2012年8月号

文・泡☆盛子 撮影・福森クニヒロ

「インデアン」のビーフカレー

ビーフカレー。鶏ガラ、豚骨、野菜スープに、2時間以上練ったルウを加える。木屋町の味に比べるとややマイルドだが、食べ進むうちじわり広がる辛さは健在。

かつて、京都の繁華街・木屋町に「いんであん」というカレー専門店があった。さらりとしたルウがライスを浸す独特な盛りつけで、後をひくスパイシーさが印象的だった。50年以上続く店と聞いたが、5年前に突如閉店。時折、恋しく思い出す。

しかし、伝説は意外な所で続いていた。なんと、姫路で、あのカレーが食べられるというではないか。

民芸調だった本家とは打って変わったカフェ風の店。でも、ああ、やってきたのは同じカレーだ! 皿や漬物まで一緒。懐かしい!

店主の秦豊子さんは、学生時代に惚れ込んだ「いんであん」の味を再現するべく、姫路から通い詰めで修業。“へんこ”な初代・吉田知義さんの下で、ひたすら目で追いメモをとり、最終的にはルウのつくり方を体得した。同時に吉田さんとも家族同様の付き合いが続いたそうだ。

「店を始めて30年。メニューは増えても、大将の『カレー一本でいかなあかん』という教えはひたすらに守っています」。敬愛をもって受け継がれた一皿は、味わいだけではない深い余韻を心に残す。

30年来使う計量カップと、本店譲りの皿

大将の教え方は「これは(計量カップの)縁まで。こっちはこの辺まで」と、漠然たるものだったという。

偶然店と同じカップが秦さんの実家にあったため、それを使い続けて30年。「娘には他の容器でちゃんと計って記録したら? と言われるけど、ええねん、これで」。皿は、木屋町で使っていたものを写しで焼いている。

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泡☆盛子