2014年8月1日(金)

最高の冷やしトマト

dancyu 2013年8月号

文・小澤啓司 撮影・馬場わかな 教える人:児玉雄作(八彩懐石 長峰 料理長)

冷やして切るだけのなんでもない料理――だからこそ、思いっきりおいしくつくりたい。究極の“冷やしトマト”のつくり方を習いに、野菜づくしの懐石料理で人気の「八彩(やさい)懐石 長峰」の門を叩いた。

「ちょっとしたコツで、驚くほどおいしくなりますよ」

野菜を知り尽くした料理長の児玉雄作さんからは、こんな力強い言葉が。さっそくつくり方を拝見した。

左:「冷蔵庫の野菜室で20~30分冷やします。冷えすぎず、ちょうどいい温度になるんです」 右:「くし形切りや縦切りにする場合、ヘタの部分を少しカットすると座りがよくなります」

まず大事なのは、トマト選び。児玉さんが使うのはフルーツトマトだ。「フレッシュな甘味が格別においしい」と言う。フルーツトマトは、水分を極力抑えて完熟させ、糖度を高めたもの。「丸くて、実が引き締まり、皮は赤く、ヘタは緑色でピンとしているものがいい。ヘタの周りがひび割れているものは避けます」

その旨さを余すところなく引き出すには、下処理が肝心。「皮が付いたままだとどうしても口に残ってしまう。皮をむくひと手間を加えるだけで、食感も食味も数段アップします」

湯むきでもいいのだが、児玉さんはバーナーでトマト全体の表面を焼いてから、皮をむく。「トマトは火を入れると甘味が増す」からだ。焼き網にトマトを置いてバーナーを当てるとあっという間に焦げ目がつくので、水を張ったボウルに移して皮をむく。最後は流水できれいに仕上げるといい。ヘタとその周辺の硬い部分は包丁の先でくりぬく。

ミニトマトだって妥協しない。皮を除くだけで、野趣あふれるミニトマトも、上品でつるんとした食べ心地に変貌を遂げる。

さて次は、トマトを冷やす番。暑い夏にはキンキンに冷えたトマトがたまらない! が、ちょっと待った。

写真上から時計回りに、王道のくし形切り、居酒屋風の縦切り、洋の前菜にぴったりな輪切り、ミニトマトの冷やしトマト。

「トマトは冷やしすぎると本来の味がわからなくなってしまいます。5~7℃に設定された冷蔵庫の野菜室で、20~30分冷やすのがコツです」

程よく冷えたら、切り分ける。皮をむいているので切りやすいが、熟したトマトは崩れやすい。ぜひともここは、切れる包丁を用意してほしい。くし形切り、縦切り、輪切りと、児玉さんは3つの切り方を教えてくれた。器に合わせて、お供の酒に合わせて……いろいろ試そう。

最後の仕上げはひとつまみの塩。上からパラパラとふりかければ、その甘味が一気に花開くのである。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

小澤 啓司