NTTドコモなど通信大手3社による携帯電話市場の寡占状態にメスが入る。総務省が7月14日、携帯電話会社が同業他社の通信サービスを利用できなくする「SIMロック」機能の解除を、2015年度にも義務付けることを決めたからだ。SIMロック解除が義務付けられれば、利用者は契約先を変更しても高価な端末を買い替えることなく、そのまま使い慣れた端末を利用し続けられるメリットが生まれる。

同省は国際的に高い水準の通信料金の引き下げを促すため、大手3社の寡占を切り崩す「伝家の宝刀」を抜いた格好だ。差し当たって、大手3社がともに扱う米アップルの人気スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone」への影響が焦点となる一方、直近で仮想移動体通信事業者(MVNO)を通じて異業種による市場参入が相次ぐ格安スマホへの乗り換えを促すきっかけにもなる。通信各社にとっては、新たな競争に向けた大きな節目を迎える。

SIMロックを巡っては、同省は10年に示した指針で、各社に自主的な解除を促した。しかし、これに沿ったのは一部だけであり、目立った成果は引き出せずに終わった経緯があった。このため、同省は一段の強権発動で競争原理を引き出し、スマホが急速に普及する中で割高感の強いデータ通信料の引き下げを目指す方針だ。

一方、同時に見直しの対象だった大手3社が事実上、商慣習化している2年ごとにしか契約を解約できない「2年縛り」については、今回は見直しを見送った。ただ、14日の中間とりまとめでSIMロック解除の義務化を打ち出した同省の有識者検討会は、最初の2年契約が満了すればいつでも無料で解約できるよう規制する方向。年末までに詰めの検討作業を重ねる意向だ。

SIMロックの機能は海外でも一般的に用いられている。しかし、契約の一定期間が過ぎれば自由に解約でき、その意味で、世界標準に近づく動きを歓迎する向きもある。契約先の乗り換えも容易になり、格安スマホ会社の台頭にも弾みが付くことも予想される。半面、大手3社の収益力低下は避けられず、利用者の利便性改善と自由化に舵を切る同省の通信行政に、大手3社が揺さぶられることは間違いない。