日本企業によるアジア企業のM&A金額

今東南アジアが熱い――。日本企業が東南アジア地域への投資を加速している。M&A(合併・買収)助言業のレコフによると、2013年の東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国に対して日本企業が実施したM&Aの金額は9533億円超となり過去最高となった。

消費を牽引する中間層が増えてきたこともあり、「人件費の安さを背景とした生産拠点から、販売拡大が見込める消費市場として、東南アジアの位置づけが変わってきた」「消費市場として成長する東南アジアで積極的な事業展開を狙う日本企業が増えている」という報道も多く出てきた。事実、ユニ・チャームがミャンマーの日用品大手を買収、三菱東京UFJ銀行がタイ大手アユタヤ銀行を買収するなど、消費者向けサービスや小売りでも動きがある。

だが、東南アジアへの企業進出を数多く手掛ける野村総合研究所の小野尚上席コンサルタントは、「東南アジア地域で個人消費が急速に伸びているのは事実だが、市場規模はそこまで大きくない。日本国内の売り上げの落ち込みをカバーするほどではない。さらに、東南アジアと一括りにしても、アメリカや中国のような単一市場ではなく、国によって民族、宗教、言語や商習慣などが異なるモザイク市場である。そのため、企業は個々にきめこまやかに対応する必要がある」という。現に米スーパーマーケット大手のウォルマートは単一市場である中国には進出しているが東南アジアには進出していない。

そのため多くの日本企業は様子見というのが実際のところ。15年末発足予定のASEAN経済共同体に期待したい。