借入金と在庫をチェック

デベロッパーの業歴を知るには、原則として宅建免許の更新回数を見ればいい。5年に1回の更新で、数字が多いほど業歴は長い。

次に「財務」について。

デベロッパーの場合、年商程度の借り入れをもとに事業を回している。それ以上の借入金があれば問題だ。会社四季報などの公開情報から借入金の額を確認してみて、借入金が年商の1.5倍や2倍になっているとしたら、その会社は将来の市況悪化時に大きな痛手を受けることが予想できる。また、在庫が年商以上に積み上がっていれば、過剰在庫といっていい。この水準をもとに「危ない」かどうかを見分けることができるだろう。

最後は「得意分野」について。

一口にマンションといってもファミリー向け大型物件から、DINKS向け、投資用ワンルーム・マンションなど数種類に分かれる。不況期に生き残った会社の多くは、このうちどれか一つを得意分野にしていた。反対に、財閥系など巨大企業を別にすると、全種類に手を出しているデベロッパーは「危ない」のだ。

物件の立地面でも、得意な地域を明確に持っている会社のほうが安心だ。施工実績から見て「都心に強い」とか「私鉄の○○線沿線に強い」とわかる会社である。

帝国データバンク情報取材課課長 篠塚 悟
1971年生まれ。埼玉大学経済学部卒。あさひ銀行(現りそな銀行)を経て98年6月入社。主に倒産取材に携わり、2012年4月より現職。
(構成=面澤淳市)
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