クラウドファンディングで700万円を集める

実はこのCFによる資金調達は世界的なムーブメントとなっており、2009年に5億ドルだったCFの全世界での調達金額は13年には51億ドルにまで膨らんでいる。また、CFは調達の仕方で大きく「寄付型」「購入型」「投資型」の3つに分かれる。寄付型は文字通り、お金の出し手は何の見返りも期待せずにお金を寄付するもの。

『Tsukiji Wonderland(仮題)』(C)松竹株式会社

投資型については5月23日に金融商品取引法の改正案が国会で成立。これまで禁止されてきた金融商品取引業者による未上場株式の勧誘が、募集総額1億円未満で、1人当たりの50万円以下の小額のCFに限って解禁されることになった。これを受けて「ベンチャー企業の育成に寄与するのでは」と一部の関係者の間では期待されている。

残る購入型は、そのプロジェクトの趣旨などに賛同して「支援金」を提供するもので、お金の受け手は利息を払ったり、返却する必要がない。その代わりに、調達の際に約束したプロジェクトに関わるモノやサービスなどを出し手に提供する。結局、お金の出し手から見ると、それらモノやサービスを買う形になるので購入型と呼ばれるのだ。今回の松竹のCFも購入型で、最低の募集金額3000円の場合、希望すれば映画の公式サイトに名前が掲載がされる。しかし、事前に設定された期限までに募集金額に達しないと、集まっていたお金は全て支援者に戻されてしまう。

松竹が700万円を目標にするCFのサイト(https://readyfor.jp/projects/tsukiji_wonderland)を開くと、21日現在で259万7000円集まっている。募集の期限は9月1日。「仮にファンドが成立しなくても、映画は製作して公開します」と手島さんはいうが、時間はまだ十分にある。16年の国内での公開、そしてその後の海外での公開による日本文化の発信という社会的な意義を理解した支援者がこれからも多く集まってくるはずだ。また同社の取り組みを見て、CFをプロジェクトに活用しようと考える企業も増えるのではないか。

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