勝ち組は社員増で総人件費を増額

家電量販店として初の売上高2兆円を突破し、流通3位となったヤマダ電機の平均給与水準は400万円台を切り、02年度と同水準にとどまる。その間、従業員を倍増させていることを勘案すれば、給与水準が下降傾向を示しているとはいえない。

家電量販店業界では、中国企業の資本を受け入れたラオックスの東京・秋葉原店に、中国人観光客が目立つようになっている。日本観光のもうひとつの目的である買い物ツアーの目玉商品といったところ。業界他社にとっては、中国人観光客の動向も気になるところだろう。

1000円の商品にたとえていえば、10円、20円程度の営業利益にとどまっている流通各社が多いなかで、100円以上の利益を叩き出しているファーストリテイリングやニトリHD。ファーストリテイリングの従業員の平均年間給与は100万円を超すダウンになっているが、組織体制の整備などによるもので、小売業としてはトップレベルの給与水準を維持していることは疑いないところ。衣料品小売りチェーンのしまむら、持ち株会社に移行したニトリHDの中核事業企業であるニトリは、従業員数を増やしながら平均給与も上昇基調だ。

外食産業では、吉野屋HD、「ハードロックカフェ」やイタリアンの「カプリチョーザ」を展開するWDIといった持ち株会社を除いては、「長崎ちゃんぽん」やとんかつの「浜勝」を手がけているリンガーハットの600万円台が目立つ。外食企業としては異例の40代半ばという、従業員平均年齢が高いことが背景にあるようだ。

外食産業の勝ち組とされる王将フードサービスやサイゼリヤは、ここ数年は増額基調。外食トップに立つ勢いを見せる牛丼「すき家」などのゼンショーは、対前年比ではほぼ横バイだが、この4、5年で50万円を超える上昇だ。

※すべて雑誌掲載当時

(宇佐見利明=撮影)