孫正義氏がこれまでに経験したタフな場面をケーススタディの形で完全再現。
あなたは正しい判断を下せるだろうか。

Q. 主力事業が4年連続赤字で資金不足。借り入れ・増資するか

2001年、ソフトバンクはブロードバンドサービス「ヤフーBB」を開始した。ところが、4年連続の大赤字。A案は、ブロードバンドが有望だと銀行を口説く。B案は、ブロードバンド事業以外を売却し資金を調達。
【A】借り入れ・増資する【B】他の事業を売却して資金をつくる(正答率50%)

ベンチャー経営者であれば、資金不足という問題には絶えず頭を悩まされることでしょう。こんなときはどうすればいいのか。借り入れ、あるいは増資で資金を調達するか、主力事業以外はすべて売り払うか。

ソフトバンクの答えは、後者でした。実をいうと、銀行などから借り入れを増やしたかったのだけれど、貸してくれなかった。だから、泣く泣く売り払った(苦笑)。でも、今から考えれば正しい選択だったと思う。

孫正義氏

01年から始めたブロードバンド事業に専念し始めると、街頭でのモデム無料配布や広告宣伝費など、契約者獲得のためのコストが重くのしかかり、年間1000億円の赤字を出しました。それが4年間も続きました。

こんな逼迫した状態ゆえ、銀行は融資を認めなかったわけです。ゼロから立ち上げたとはいえ、ブロードバンドのインフラを整えるのにこれほどコストがかかるとは思っていませんでした。いくらつっこんでも出口がまるで見えない。それはほとんど泥沼化といってもいい。ソフトバンク史上に危機はたくさんありましたが、これはとりわけリスクが高い部類のものでしょう。